犀南保健センター
長野市で積極的に予防に取り組んでいる「生活習慣病」をテーマにお話しします。
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの「生活習慣病」は、かつて「成人病」と呼ばれていました。
しかし、成人でなくても発祥の可能性があることや、生活習慣の改善により予防が可能であることがわかってきたため、平成9年度に「生活習慣病」へと改められました。
それから20年余りの間、健康増進や発病予防に重点が置かれ、テレビ・ラジオ・インターネットなどでも生活習慣病予防に関するテーマが毎日のように取り上げられ、数多くの情報が飛び交っていますが、生活習慣病の発症率は減少していません。
平成29年の国の調査では、生活習慣病は死亡者数のおよそ5割を占めています。また、介護が必要になった主な原因についても、生活習慣病が3割をしめています。
生活習慣病の多くは、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの、より深刻な病気を引き起こしますが、病気がかなり進行するまでほとんど自覚症状が現れないという恐ろしい共通点があります。自覚症状がないまま、確実に身体の負担として蓄積され、生活の質を低下させていくのです。
どうすれば生活習慣病を予防し、生活の質を低下させることなく、健康にハッピーに過ごしていけるのでしょうか。
少し頭を切り替え、私たちの体の中に目を向けてみましょう。
私たちの体は、食べ物の栄養素からできています。その栄養素を材料にして体の細胞を作ったり、壊してつくり直したり、傷ついた箇所を補修したりしています。普段はあまり意識することはありませんが、今ある体は、今まで食べてきたものでできているのです。
今までの食べ方で、体はどんな状態になっているのでしょう?
体重と身長から計算できる体格指数というものがあります。「BMI」と呼ばれるものです。
このBMIが25を超えると、体に脂肪がつきすぎていると判断します。余分な脂肪は体の中で悪さをします。血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きを邪魔したり、血管の壁で炎症を起こしたり、血圧が上がることにも関係します。
お手元に検診などの検査結果があれば、ご自身のBMIや血糖値、血圧などを確認してみてください
BMIが25より下でも、20歳の時と比べて体重が増えていれば、増えた分は筋肉や骨ではなく脂肪である可能性が高いです。体形がやせ型であっても、余分な脂肪が蓄積して悪さをしている場合があるので、油断せずに検診結果に異状がないか確かめてみてください
体についている脂肪の材料は食べ物の「油」であるとは限りません。摂りすぎた「炭水化物」が脂肪の材料となっている場合もあります。
また、体格からはわかりませんが、摂りすぎた塩や糖によって、血管が傷つけられたり、臓器が疲れてしまっている場合があります。
今の食べ方は、自分の体に合っているのか?
それを知るとこができるのが「特定検診」です。
特定検診では、身長・体重などの身体測定や、尿検査、血液検査などをします。その結果から、体の中を傷つけてしまう「危険因子」を抱えているかどうかを知ることができます。
そして、対策をとることで、高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病の発病を予防していくことが可能になります。
この効果をお金で見た調査結果があります。検診を受けている人と受けていない人の医療費についての調査です。
長野市の平成30年度の国民健康保険の調査では、生活習慣病等一人当たりの医療費は、検診を受けた人で、約3,300円(3,292円)。受けていない人で、約13,000円(12,616円)で、検診を受けていない人は医療費を一年間で1万円も多く支払っていました。
検診を受けて、自分の体の危険因子を知り、生活習慣病への対策を取れば、生活習慣病やそれによって引き起こされるより深刻な病気を防ぎ、医療費を抑えることができるかもしれません。
しかし、長野市国民健康保険の平成30年の特定検診受診率は47、1%で、対象の半数にとどまっています。
検診を受ける人が増え、受診率が上がると良いことがあります。
国が支援金を交付し、自治体の予防・健康づくりの後押しをしてくれます。それは住民の皆さんが納められる保険料に還元されていきます。
生活習慣病は予防できる病気ですが、年齢や健康状態によって最優先すべき対策が異なります。
保健師・管理栄養士が、特定検診の結果から生活習慣病の危険因子があるかどうかを見たり、危険因子があれば発症予防のための対策、一人一人に合った生活のしかたを一緒に考え、住民の皆さんの健康をサポートします。お宅を訪問したり、保健センターの相談にも応じていますので、お気軽にご利用ください。
また、生活習慣病やその他の病気で治療中の方も特定検診を受けることができます。主治医の先生と連携を取り、再発や重症化を予防するための方法を、保健師・管理栄養士が一緒に考えますので、ぜひご相談ください。
生活習慣病を予防するために、何をすればよいか…。
『そうか!まずは特定検診を受けよう!』
そう思った方は、令和2年度版の「各種検診のご案内」をご覧いただき、検診にお出かけください。