取材ノート
「今月の健康」
~骨粗しょう症予防について~
犀南保健センター
まだまだ寒い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?今月は骨粗しょう症についてお話をしたいと思います。
骨粗しょう症とは、骨の量が減少したり、骨の質が変化して骨が弱くなったり、骨折が起こりやすくなる病気です。背中や腰が痛む、背中や腰が曲がってくる、身長が縮んでくる症状があります。健康な骨の内部は、たくさんの棒状の骨が縦横に連結し、強度を保っています。しかし、骨粗しょう症になると、これらの棒状の骨が細くなったり切れたりして骨と骨の空間が広くなり、スカスカの状態になります。初期には目立った症状がないので、骨折したり、周囲の人に指摘されてはじめて気づく場合が少なくないです。
骨は一見常に同じ状態にあるかのように見えますが、骨を溶かして壊す役割の『破骨細胞』とその傍からせっせと新たに骨をつくっていく『骨芽細胞』が互いに『つくっては壊し、壊してはつくる』を繰り返し丈夫な骨を維持しています。これを骨代謝といいます。ただし、壊すのは2週間程度で済みますが、つくるほうはおよそ2~3ヶ月かかります。そのため、両者の働きのバランスがとれてはじめて骨の健康が保たれるのです。しかし、骨のもとになるカルシウムの摂取が不足し、身体が老化して骨をつくるためのホルモンが不足してくると骨代謝のバランスが崩れていきます。骨が作られるより早く骨が壊れて吸収されてしまい、骨の量が少なく弱くなってしまいます。こうして骨からカルシウムが徐々に減り骨粗しょう症になる危険が高くなります。
骨粗しょう症は『性別・年齢・遺伝・体質』など自分では避けられない条件と『食生活・運動不足・喫煙・過度の飲酒』などの生活習慣病が関係して起こります。では、どのような人がこの病気にかかりやすいのでしょうか?それぞれの条件について詳しく説明していきたいと思います。
1.性別・・・女性のほうが圧倒的に多く、その発症頻度は男性の約3倍と言われています。女性ホルモンのエストロゲンは腸でカルシウムの吸収を促し、骨の細胞が壊れるのを抑えています。女性の場合閉経するとこの働きが抑えられるため、骨の量が減ってしまいます。
2.年齢・・・骨の量は20歳頃をピークに年齢と共に徐々に減ってきます。そのため年齢を重ねるごとになりやすくなると言われます。閉経の頃には、エストロゲンの減少に伴い、徐々に骨は減りはじめ、閉経後10年の間に骨量は2割程度減少、同時に骨密度も急激に低下することがわかっています。最近は若い人でも、極端なダイエット、運動不足、ステロイド剤の服用の影響をうけることがあります。
3.遺伝・体質・・・骨粗しょう症、あるいは骨折しやすい近親者がいる人、また、瘦せている人や筋肉が少ない人もなりやすいと言われています。
4.食生活・・・偏った食生活、特に骨に必要なカルシウムやビタミンD・Kなどが不足している人は骨の量が減りやすいと言えます。
5.運動不足・・・運動不足の人は骨に圧力がかからないため、骨が弱くなります。
6.喫煙・・・タバコを吸うと胃腸でのカルシウムの吸収が阻害されて、女性ホルモンの分泌も抑えられるため、骨量不足を招くと言われています。
7.過度な飲酒・・・アルコールには腸でのカルシウムの吸収を阻害する作用があるため、飲み過ぎるとカルシウムが吸収されず尿に排出されてしまいます。
このように、骨粗しょう症はいろいろな因子が関係して起こってきます。長生きしても骨粗しょう症で骨折、寝たきりになっては何にもなりません。いきいきした生活を送るためには予防していくことが大切です。
予防の第一は、食生活を見直してみましょう。食事はバランスよくとりましょう。そして、骨に欠かせないカルシウムを1日800mg以上とりましょう。カルシウムは牛乳・乳製品・大豆・小魚・海藻類・野菜などに多く含まれています。実はカルシウムは体内に吸収されにくい栄養素です。そのため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやカルシウムの排泄を抑えるビタミンKと一緒に摂取すると効率よく吸収されます。ビタミンDは鮭・さんま・かつお・きくらげ・干ししいたけなどに豊富に含まれています。何でも極端な摂取は体には良いとは言えないので、1日3食バランスに気をつけた上でカルシウム・ビタミンD・Kをとるようにしましょう。
予防の第二は、強い骨をつくり維持するには、適度な運動を生活に取り入れましょう。骨に重力負荷が加わるような適度な運動をすることが良いとされます。たとえば、ウォーキングや筋力トレーニングなどが効果的です。運動だとなかなか長続きしないという方には、体を動かすことが気持ち良いと感じることが大切です。1日30分程度の散歩や買い物に出た時についでに周囲を歩いてみる。ダンスやゲートボールなどの趣味も立派な運動です。目標を立て、運動の記録をつけることも、継続の励みになります。足や腰が痛くて運動ができないという方は、家の中で体操するだけでも効果があります。かかとの上げ下げ、踏み台昇降、無理のない重さのダンベルを使った筋力トレーニングなど自分にあったやり方を見つけてみましょう。