取材ノート
「今月の健康」
~お酒との付き合い方について~
犀南保健センター
コロナ渦で飲食店での会食や歓送迎会などでの飲酒の機会が減っていますが、一方で自宅で飲酒する機会が増えているとも言われています。帰宅の時間を気にしないでお酒が飲める、あるいは、在宅勤務となり早い時間からお酒が飲めるなど、飲酒量が増加することが心配されます。
そこで、今回はお酒との付き合い方についてのお話をします。
お酒は身体に良いものか悪いものか、皆さんはどうお考えですか?
節度ある適量のお酒は、対人関係を円滑にしたり、ストレスを和らげたり、食欲を増したりします。しかし、適量と言ってもその量は人によって様々で、性別や年齢・体重・体質・その時の健康状態など、様々な要素が関係します。
厚生労働省が示す健康を維持するためのお酒の適量は、お酒に含まれる純アルコールの量で計算すると、1日あたりアルコール量20g以下と言われています。お酒の種類にすると
、日本酒なら1合程度、ビールや酎ハイならアルコール度数5%前後のもので500㎖、ワインなら200㎖に当たる量になります。最近流行りの『ストロング系』といわれるアルコール度数が9%程度と高い酎ハイの場合は250㎖程になりますので、アルコール度数にも注意が必要です。
また、女性の場合は一般的に男性より小柄で、アルコール代謝能力が男性より低いので、純アルコール度は10g程に抑えることが望ましいとされています。
適量を超えたお酒を飲み続けると、生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、最近では認知症の発症リスクも高くなることが分かってきました。
加齢による脳の機能低下に加え、長期間のお酒の飲み過ぎが脳を委縮させ、脳の血管に障害を起こしてしまいます。認知症予防のためにも適量を守りましょう。
その他にも、癌・脂肪肝・肝硬変などの肝臓の障害、糖尿病、脾臓の障害、消化器系や循環器系など様々な臓器の障害が起こりやすくなると言われています。1週間のうちで連続した2日間、お酒を止め肝臓を休ませる休肝日を設けることが、お酒を安全に楽しく飲むコツです。
また、軽く食べながら飲むことも大切です。お腹が空いたままお酒を飲むと、胃の粘膜を傷つけたり、低血糖を起こしやすくなります。逆に満腹の時にお酒を飲むと、身体に脂肪を蓄えてしまうので、腹八分目の食事を摂りながら、お酒を飲むように心がけるとよいでしょう。
お酒を飲む場合、注意していただきたい人がいます。
まずは、薬を服用している人です。お酒と薬を一緒に飲むと、薬の種類によっては薬の作用がなくなったり、逆に強く現れることがあります。特に、精神安定剤、糖尿病や高血圧の薬などは作用が強く現れてしまいます。薬を服用している人は、お酒を飲んで良いのかいけないのか医師に相談しましょう。
次に、妊娠中や授乳中の女性です。妊娠中、授乳中の女性が飲酒をすると、胎児や乳児の成長発達を妨げてしまいます。特に、妊娠中の飲酒はたとえ少量でも、妊娠中のどの時期でも、流産や早産、低出生体重児、奇形、脳障害など胎児に影響を与える可能性があります。『赤ちゃんが欲しい』と思ったその時から、アルコール類は飲まないようにしましょう。
また、20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。脳や身体が成長を続けている未成年者にとって、お酒を飲むことは、脳が縮み、学習能力や集中力、記憶力の低下を起こしたり、骨の成長の邪魔をし、ホルモンバランスを乱すなど、大人よりもアルコール依存症になりやすくなる可能性があると多くの研究で示されています。同じように禁止されているタバコに比べ、お酒は寛容に受け止める傾向があるので、子どもに一度もお酒を飲ませることのないよう、周りの大人が守っていきましょう。
コロナ渦で健康が気になる時です。自分にあったお酒との付き合い方を見直してみましょう。