取材ノート
「今月の健康」
~腎臓の働きと夏の過ごし方~
犀南保健センター
いよいよ暑い季節になってきました。
夏に守りたい腎臓のお話をします。
まず、腎臓の位置と働きについてお話したいと思います。
腎臓は背中側の両側の腰の上に左右1個ずつある、にぎりこぶし大の大きさの臓器です。1つの腎臓に100万個の糸球体という毛細血管のかたまりがあって、そこで全身から集まってきた血液を一旦全部尿に捨て、そこから私たちの細胞に必要なものを血液に取り戻すことで、老廃物と余分な水だけを尿として捨てます。つまり、腎臓の血管で尿が作られています。この働きがうまくいかなくなると、老廃物が尿として出せなくなり、血液に残って全身に回ってしまいます。腎臓が正常に働いてくれることで、老廃物が排出され、細胞に必要な電解質のバランスが保たれるのです。
では、自分の腎臓の」状態は何で分かるでしょうか?
1つは尿検査です。尿にたんぱくが出ていないかをみていくことが大切です。もう1つは血液検査です。クレアチニンという項目から計算するというeGFRという項目で腎臓の機能を推測できます。どちらも特定健診で分かります。
健診で尿蛋白が(+)以上出た方は、腎臓の細かい血管や老廃物を吸収する尿細管という部位が障害されている可能性があります。まずかかりつけ医に相談し、再検査をしてもらいましょう。
では、次に腎臓が正常に働くために気を付けていただきたいこ
とを2つお話します。
まず1つめとして、腎臓が働くためには腎臓の血管を傷めないことが大切です。腎臓の血管が痛む原因として肥満、高血圧、高血糖、LDLコレステロールが高い、ウイルスや細菌があります。ご自分の高血圧、高血糖、LDLコレステロールの状態も特定健診で分かります。
今年度の国保特定健診・後期高齢者健診は7月1日~11月13日までに期間が変更になりましたので、受診券が届いている方は期間の間で受診していただくと血液検査・尿検査で自分の体の状態を確認することができます。
期間の終わりは混み合うこともありますので、国保特定健診・後期高齢者健診受診券が届いている方は、早めの受診をお勧めします。
2つめとして腎臓は脱水に弱いので、脱水に気を付けることが大切です。体内の水分量が減ると腎臓に流れる血流も減少し、更に老廃物をうまく排出できなくなるため、腎臓に障害を与える影響があります。
脱水になる原因として、大量の発汗や水分摂取不足、アルコールなどの利尿作用によって尿量が増えることなどがあります。
大量のアルコール摂取は尿酸値を高め、かつ脱水を起こすので、尿酸が腎臓内で結晶化し尿酸結石になり、それにより腎臓を傷める要因にもなります。
暑い季節で飲酒量が増えがちですが、大量の飲酒を避け1日1,5ℓから2ℓの水の摂取を心がけましょう。