犀南保健センター

　今月のテーマは『歯のお手入れ』です。


　私たちの歯は、食べたり話したりする楽しみ、全身の健康に深く関わっています。いつまでも健康で楽しい毎日を送るためには、日頃から口の中を清潔に保つことが大切です。


　生涯にわたって健康な歯と口で過ごすためには、むし歯、歯周病を予防することが大切です。特に歯周病は、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気が付いた時には、すでに歯を保てない状態ということも少なくありません。


　歯周病は、歯肉が腫れたり歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。以前は歯槽膿漏と呼ばれていました。初めは歯肉からかるく血がでたり、腫れたりすることから始まりますが、症状が進む歯肉の腫れが大きくなり、歯を支えている骨が溶けはじめます。そして、最後には、歯を支えることができなくなり、抜けてしまうという病気です。成人のおよそ８割がかかっていると言われています。


　歯周病の原因は、歯垢の中にいる細菌、歯周病菌です。歯垢は食べかすのように見えますが、実際は歯周病菌などの細菌の塊です。歯垢１ｍｇに１億個以上の細菌がいると言われています。しっかり歯を磨いていないと歯周病菌が増えていき、歯肉の炎症を引き起こします。


　これまで口の中だけの問題とされていた歯周病ですが、慢性的に罹っていると、心疾患や糖尿病、誤嚥性肺炎を引き起こすなど、全身に様々な悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになってきました。妊娠中に歯周病が悪化すると、早産や低出生体重児の出産のリスクが高まるといわれています。


　歯周病を予防するためには、歯垢を正しい歯磨きで取り除くことが大切です。歯周病菌は、歯と歯肉の境の溝に潜んでいるため、この溝に歯ブラシの毛先をいれ、軽い力で小刻みに動かします。
　歯と歯茎の間にはフロスを使います。歯肉を傷つけないように、前後にゆっくり動かしながら歯と歯の間に入れ、歯の裏側をこすって歯垢を取ります。
　歯と歯の間に用具の入る隙間がある人は歯間ブラシを使いましょう。
　口の中の状態は個人差があるので、具体的には、歯科医師や歯科衛生士の指導を受け自分にあった方法で磨きましょう。


　定期的に歯科健診を受け歯石を取ることも重要です。歯石は、歯垢が石灰化した塊で、表面がざらざらしているために汚れがたまりやすく、歯肉に炎症を起こしやすくなります。歯石は歯みがきで落ちないため、歯科医院で取りましょう。痛くなったら歯科医院へ行く、ではなく、定期的に歯科健診や相談を受けることが大切です。



　長野市では、今年度中に満３０歳、４０歳、５０歳、６０歳、７０歳になる人を対象に歯周病疾患検診を実施しています。検診料は、自己負担金が５００円です。７０歳になる人、市民税非課税世帯の人、生活保護受給者または特定中国残留邦人等支援給付受給者は、無料です。


　検診の内容は、歯周病やむし歯の検査など、口の中の診察とその結果の説明、歯みがきの実技指導です。対象の方には。５月末に受診券を郵送しています。検診の実施期間は、来年１月３１日までです。


　歯周疾患検診については、長野市保健所健康課　電話（０２６）２２６－９９６１へお尋ねください。


　今回は、歯のお手入れについてお話しました。健康で質の高い生活を送るためには、歯や口の健康は欠かせません。正しいお手入れを心がけ、歯と口の健康を保ちましょう。