長野農業改良普及センター　中沢克明さん

　　　

　朝晩は秋の気配も強くなりましたね。
　今回は晩秋から初冬の管理として、玉ねぎの定植・エンドウの越冬栽培・畑の土作りについてお話します。



　最初に玉ねぎの定植です。


　玉ねぎの定植適期は平均気温が１２度となる頃が良く、長野市内の平坦地では１０月２５日頃となります。
　定植が遅れて根が十分に伸びないと、生育不良となり、逆に定植が早すぎるとトウ立ちや分球が多くなりますので、適期の定植が重要です。また、トウ立ちは苗の大きさにも関係があり、鉛筆の太さ以上になるとトウが立ちやすくなります。
　植え付ける苗は、茎の太さが５ｍｍ程度、長さ２０～３０ｃｍで、葉が素直に伸び、根がよく伸びているものが理想です。一般的な割りばしは、割った異１本の先端の部分が５ｍｍ、長さは２０ｃｍ程度ですので、参考にしてみてください。
　畑の準備としては、１０平方メートル当たり堆肥を２０ｋｇ、化成肥料１ｋｇ程度散布し十分に耕うんしてください。
　植え付けは、短冊形のうねを作り、そこへ条間２０～２５ｃｍ、株間１０～１２ｃｍ程度で苗を植え付けます。根を乾燥させると活着が悪くなるので、苗取りは少しずつ行い、濡れた新聞紙などでくるんで、根が乾かないようにしておきます。また、苗を植え付ける深さは３～４ｃｍで、根をしっかり土の中に埋め、凍みあがらないよう、覆土した上を足で鎮圧してゆきます。覆土が厚すぎると玉ねぎが縦長になる傾向があるので注意してください。



　つぎはサヤエンドウです。

　冬に凍みあがりのひどくない、標高６００ｍくらいまでの地帯では越冬栽培が可能です。越冬栽培では１０月下旬から１１月上旬に播種します。
　連作に弱く、酸性土壌にも弱い野菜です。５年くらいサヤエンドを栽培していない場所で、石灰資材を投入して土壌の酸性度を矯正してから栽培しましょう。室外にも弱いので高めの畝として株間１０～１２ｃｍ、１ヵ所に３～４粒播種します。
　越冬時の大きさは、本葉４枚程度です。寒さが厳しくなって来たらもみ殻を株が隠れる程度にかけたり、ワラ束で株を挟み込んであげます。春になって気温が上がり、再び成長を開始したら間引きを行い１本にします。来年、ゴールデンウィークあたりから収穫が可能となります。
　

　秋の味覚の代表でもあるさつま芋の収穫時期となっています。

　さつま芋は霜に当たると腐りやすく、貯蔵性が劣るので、霜の降る前に収穫しましょう。収穫したさつま芋は数日間日陰で干して、発泡スチロールの箱などで、ある程度湿度を保ちながら１２度以上で保存します。
　


　最後に畑の土作りについてお話します。

　１１月は土作り月間です。収入がほぼ終わり来年の栽培に備える時期となります。早めに準備をしましょう。
　土作りとは、一言でいえば「植物の根が生長しやすい環境にする」という事になると思います。
　畑で栽培する作物は、水がたまった状態では生育が著しく悪くなり、場合によっては枯れてしまします。種を蒔いても芽が出ないこともあります。また、踏み固められた硬い土では根が十分に伸びることができず、乾燥や多雨の影響を受けやすくなります。排水が良くやわらかな土にするためには深く起こすことが重要です。
　通常、野菜の根は３０ｃｍ以上も下に向かって伸びます。管理機のロータリーでは、１０ｃｍ程度しか起こす事ができません。それほど広くない畑では、スコップを使っての掘り起しをお勧めします。この際には堆肥を投入することで、一層土作りの効果が高まります。



　先ほど、サヤエンドは酸性土壌に弱いという話しをしましたが、野菜の種類によって、生育しやすい酸性度があります。これを測定する土壌用ＰＨメーターなどを活用して、畑の酸性度を把握してみましょう。それを基に、酸度の矯正をしたり、栽培品目を考えてみることも大切です。