犀南保健センター
台風19号の被害にあわれた方に心よりお見舞いを申し上げます。
予期しない災害に遭遇した私たちは誰でも気持ちが落ち着かなくなったり、色々なことに不安や恐怖を感じたり、気持ちが落ち込んで何もしたくなかったりもします。
今月は災害にあった後の『心の変化』についてお伝えいたします。
災害などのショックが大きい出来事に直面した後、眠れない・イライラする・誰とも話す気になれない・不安が強い・体の調子が悪い・・・という心や身体の変化はありませんか。
このような心や身体の変化は、誰にでも起こりうる当たり前の反応です。その人の性格などが弱いからといって起こるものではありません。
災害の後の心の変化は次のような経過をたどります。
災害直後は、恐怖体験のため無感覚になったり、感情が良く分からなくなったり、茫然とした状態になりやすいです。自分の家族や近所の方の命・財産を守るために、危険をかえりみず、行動的となる人もいます。
その後、災害の体験を共有し、くぐり抜けてきたことで、被災した方同士が強い連帯感で結ばれます。援助に希望を託しつつ、瓦礫やゴミなどの片づけを助け合います。
災害直後の混乱が収まり始め、復旧に入る頃。被災者の我慢が限界に達し、援助の遅れや他者への不満も出やすくなります。やり場のない怒りがこみ上げ、ケンカなどのトラブルも起こりやすくなります。
復旧が進み、生活の目処が立ち始めるころ、生活の再建への自信がついてきますが、復興から取り残されていると感じている方や、精神的な支えを失った方には、ストレスの多い生活が続きます。
多くの場合、1ヶ月以内に心や身体の症状は回復するといわれています。ですが、中には時がたっても心や身体の不調が長続きする人もいます。
少しでも乗り越えやすくするため、つぎの5つの事を心がけてみてください。
1つ目です。
『できるだけ休息を取りましょう』
眠れなかったり、やるべきことが多かったりすると、心も体も疲れてきます。するべきことは多いのですが、休息時間を必ず取るようにしましょう。
2つ目です。
『食事や水分を十分にとりましょう』
思うように食べられなかったり、普段と違う生活のために食事が不規則になりがちです。特に高齢者では脱水症状になりやすいので、水分の補給を積極的に行いましょう。
3つ目です。
『お酒や、カフェインを含むコーヒーや緑茶・紅茶の摂りすぎに注意しましょう』
不安や心配があり、眠るためにお酒を飲むと、かえって眠りが浅くなってしまい、良質な睡眠を妨げます。また、カフェインは眠気をさまして集中力を高める効果がありますが、摂りすぎると頭痛・集中力の低下・疲労感も起こりやすくなってきます。
4つ目です。
『心配や不安を一人で抱えずに、周りの人と話をしましょう』
災害の後、心配が増え、不安になるのは当たり前のことです。一人で抱え込まずに、家族や友人、近所の人など話せそうな人に話しをしてみましょう。
5つ目です
『お互いに声をかけあいましょう』
特に一人で住んでいる方、子ども・高齢者・障害を持っている方・日本語を母国語としない方へは配慮が必要になることもあります。周りの人が気にかけ、声をかけ、皆で助け合いましょう。
ここで、自分でできる簡単なリフレッシュ方法をご紹介します。
不安や心配事を和らげる呼吸法です。
『6秒で大きく息を吐き、6秒で軽く吸う』ということをやってみてください。
朝と夕に5分ずつやることで気分が楽になることもあります。
時間の経過とともに、心や身体の症状は回復してきますが、長引く場合は、気軽に医療機関に相談してみましょう。
最後に、災害にあわれた方や、家族や友人を支えている方も、自分自身の心の健康に目を向けてみてください。
少しでも役に立ちたいと思いから、普段以上に気負い、無理を重ねることがあります。災害にあわれた方を支えている支援者も、ストレス反応がおこることがあります。
支援する側も被災者の場合もあり、ストレスを多く受けます。
災害の現場でストレスを受けない人はいません。自分だけは大丈夫と過信せず、自分の限界を知り、仲間と協力し合い、お互いに声をかけながら活動しましょう。時々体を伸ばし、深呼吸をしてみてください。家族や友人と過ごせる時間も大切にし、休める時には十分に休みましょう。
災害にあわれた方も、支援している方も、遠慮なく周りに助けを求め、他の人の助けを借り、頑張りすぎず、あきらめないで、少しずつ生活を取り戻していきましょう。