篠ノ井 探訪
石のお薬師さん
取材ノート
塩崎山崎区の聖川左岸堤防下に小さな薬師堂が残されています。祀られているのは高さ32cm程の石で造られた薬師如来坐像。目の病気にご利益があると言われ地域の人々に愛されています。
代々お薬師さんをお守りしている山崎区の駒村庄一郎さんによると、ここは平安期に栄え江戸末期に廃寺になったと伝えられる浄光寺の跡地で、廃寺にあたり本尊である木造の薬師如来坐像は同じ山崎区の浄信寺本堂に移され、ご本尊のお身代わりとしてこの地に、石で造られたお薬師さんが祀られるようになったと言います。
浄光寺は施薬所でもあったため駒村家には薬袋に使われた多くの版木が残されています。石のお薬師さんの目の周りは、多くの人の手で撫でられすり減っており、赤い頭巾や前掛けも毎年寄贈されている事から、このお薬師さんが地域の拠り所であることが分かります。
駒村庄一郎さんは『優しいお顔のお薬師さんの前ではつい手を合わせたくなる。我が子のように感じる。』と目を細めます。戦前には、打ち上げ花火や太神楽も奉納されていたそうです。
浄光寺について詳しいことは、平成29年に塩崎文化財保存会が発刊した『語り継ぐ塩崎のむかし』という本にも紹介されています。
浄信寺に祀られている木造のご本尊