長野農業農村支援センター 羽生友多さん
2022年4月放送
いよいよ家庭菜園も本番を迎えますが、5月中も霜は降りる危険性があります。霜が降りる予報の時には、被覆資材を使用しましょう。
本日はジャガイモやネギの栽培についてとその他の野菜の植え付け時期についてお話します。
まず、ジャガイモについてお話します。ジャガイモを作るうえで考慮してほしいのは連作しないことです。ジャガイモだけでなく、同じナス科のナス・トマト・ピーマンなどを栽培した場所は避けましょう。特に前年病害が発生していた場所は注意が必要です。
種イモの植え付け時期ですが、凍霜害が心配なため、標高によって変わってきます。標高の低い場所では早く、標高の高い場所ほど遅くなります。標高400メートル以下の善光寺平は3月下旬から、標高700メートルでは4月上中旬からが目安です。
ジャガイモの生育温度は18℃で、温度が上がるに従って肥大が抑制され、29℃になると肥大は停止します。そのため、植え付けは遅れないように注意しましょう。
植え付ける種イモは、1個30~50g程度とします。種イモは大きいほど1株当たりの収量が多くなりますが、茎の数が多くなり過ぎて、いもの揃いが悪くなります。このため、大きい種イモは芽が多くついている方を上にして縦に切り、この際必ず2個~4個の芽が付くようにします。種いもを切った後は、2~3日日陰で乾かしてから植え付けます。
植え付けるうね幅は60~70cm程度、株間は30cm程度が標準で、種イモは芽を上にして植え付け、5cm程度土をかけます。凍霜害が心配な場合は8cm程度のやや深植えにしましょう。
塊茎は光が当たると緑色になり、有害な物質であるソラニンができてしまいます。予防のためには土寄せをするとよいでしょう。また、土寄せは倒状防止や雑草の防止、収量の安定にもつながります。時期は萌芽の始まる次期と萌芽後15日後の2回行うとよいでしょう。萌芽は植え付け後だいたい20~25日ぐらいに始まります。2回目はうね立てする要領で追肥と一緒に株元に土寄せを行いましょう。
4月下旬からはネギの植え付け時期になります。酸性土壌では生育が悪くなるので、苦土石灰などを施用します。石灰質資材は植え付けの2週間以上前にまいて、土とよく混ぜ合わせてください。
植える際は、深さ20cm・幅20cm程度の溝をほり、苗を3~5cm間隔に並べて土をかけます。この時、植える側の溝の側面は垂直にし、かける土の量は3cmくらいの少量にします。植え付けてから1か月後ころから土寄せを行います。土寄せと合わせて追肥を行うと効果的です。この作業は収穫まで定期的に行いましょう。また、栽培期間が長い野菜ですので、年間の作付け計画を考えて、圃場内で邪魔にならない場所を選びましょう。
家庭菜園の主役であるキュウリやトマト・ミニトマトは、低温や遅霜には弱く、最低地温が13℃以上となる頃が植え付け時期となります。ナスやピーマン類はキュウリやトマトよりも高温を好むので、最低地温17℃以上が目安です。
ホームセンターなどでは早い時期から苗が売られていますが、高い地温が必要ですので、温度が上がるのを待って購入・植え付けを行いましょう。低温への対策としては、穴あきのビニールを使ったトンネルや苗キャップ・あんどんなどがあります。また、地温の上昇にはポリマルチが効果的で、雑草防除にも効果のある、黒色のポリマルチがおすすめです。
苗を植えるのは、風がなく穏やかな日の午前中が適しています。接ぎ木苗の場合は接ぎ木部分が土の中に入ってしまうと、接ぎ木の効果がなくなります。苗の培土の表面と植え付け床の表面の高さが同じくらいになるように植えます。マルチの植穴のふちはパタパタしないように土で閉じておきましょう。熱風で苗が枯れてしまいます。
トマトでは、アブラムシで伝染するウイルス病が問題となります。ウイルス病を防ぐには、植え付け初期のアブラムシ防除がポイントになります。植え付け時にアブラムシに効果がある殺虫剤を植穴に処理するか、防虫ネットで畝を1か月くらい覆うのも対策になります。農薬を使用する際には、必ず容器に書いてある事項を確認して、記載どおりに使用してください。
最後に、家庭菜園を行うにあたって、管理機等の機械や道具に触れる機会が多くなります。特に管理機などの歩行型トラクターでバックする際は、周囲の安全確認をしっかり行いましょう。回転部への巻き込まれや、機械に挟まれたことによる死亡事故が多く発生しています。十分注意しましょう。
農業機械の使用に当たっては、始業点検や周囲の安全確認をしっかり行い、作業は余裕を持って行い、安全な運転操作を心がけましょう。また、点検や異物を除去する際は必ずエンジンを停止させましょう。
一人での作業はなるべく避け、休憩を十分に取り、家族や友人同士みんなで声を掛け合うことが大きな事故を防ぐことになります。きりのいいところまでと焦って作業をせずに、次の日に持ち越す様にゆとりをもって、楽しい菜園作業にしましょう。