取材ノート
「JAアワーより」
~キッチンの清掃を見直してみよう~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『キッチンの掃除を見直してみよう』をテーマにお話しします。
皆さんはキッチンにどのくらい細菌やカビが潜んでいるか知っていますか?
一見きれいなキッチンにも細菌やカビがたくさん存在しています。そこで、キッチンにはいったいどのくらいの細菌やカビがいるのか、またオススメの除菌法をご紹介します。これから食中毒などが気になる季節になりますので、ぜひ、これからのキッチン掃除に役立ててみてください。
まず、皆さんに問題です。キッチンのある場所や物の中で、トイレの便座よりも多くの細菌やカビが繁殖しているのはどこだと思いますか?
テーブル・シンクの隅・冷蔵庫の野菜室・スポンジ・布巾・まな板
以上6つのなかでどれだと思いますか?
正解は、すべての場所や物はトイレの便座より細菌やカビが多く繁殖しています。
トイレは定期的に洗浄・清掃をしたり、便器の素材に抗菌効果があるものが使われているので、意外に細菌やカビが繁殖しません。水気が残っていたり、洗い残しが発生したりするキッチンの方が、むしろ繁殖しやすい環境といえます。ほとんどの細菌やカビは無害なので過剰に不安がらなくても良いのですが、なかには食中毒などを起こすものも存在します。定期的な除菌を心がけましょう。気温や湿度が高くなり、繁殖しやすくなる夏場は、よりこまめに行ってください。
除菌法はいくつかありますが、今回は3つご紹介します。
1つ目は、大半の場所に使える消毒用エタノールです。80%の濃度が最も効果があるので、市販の消毒用エタノール又は無水エタノールを、水と7対3で混ぜたものを使ってください。濡れたところに使うと濃度が薄まるので、水気を取ってから使用しましょう。
2つ目は、熱湯での殺菌です。多くの細菌やカビは熱に弱いので、熱湯を数十秒かけるだけで大半を除去できます。熱に強い細菌やカビもいるので、万全を期すときは、大きな鍋にお湯を沸かしてから5分程漬けるといいです。
3つ目は、塩素系漂白剤です。消毒用エタノールでは殺菌できないノロウイルスにも効果があるなど、高い除菌効果があります。ただ、空気や熱、光などによっては成分が分解されやすいので、注意書きをよく読み使用してくだい。
次に場所ごとの除菌法をご紹介します。
まず、台布巾やスポンジです。どちらも水気が残りやすく、細菌やカビが繁殖しやすいので、殺菌力の強い塩素系漂白剤に漬け置きするのが一番効果的です。ただ、細菌には芽胞という外側が殻で覆われた構造を作り、塩素系漂白剤でも除菌が難しいタイプも存在します。ほとんどは人体には無害ですが、なかにはボツリヌス菌のように食中毒につながるものも存在します。そのため漬け置く時間を長くしたり、数日おきに除菌したりしてリスクを減らしましょう。また、スポンジは奥まで細菌やカビが入り込んで繁殖しやすく、一度そうなったら完全に除菌するのは困難です。変色したり、ヘタってきたら新しいものに交換するようにしましょう。
次にまな板の除菌法です。生肉や生魚にサルモネラ菌や病原性大腸菌などの食中毒を引き起こす細菌が付着していることが多く、調理中に何度か熱湯をかけて殺菌しましょう。また、食材を切ったときにできる小さな傷に潜り込んだ細菌やカビは、洗うだけでは除菌しきれません。調理後に乾燥させてからエタノールで拭くか、塩素系漂白剤に漬け置きしてください。表面に傷が増えてきたら新しいものに変えましょう。生肉や生魚に触れたまな板の上で、生食する食材を切るのは厳禁です。野菜用と肉魚用のまな板を使い分けるのがベストです。
次に意外とサボりがちな冷蔵庫の除菌法です。細菌やカビは低温下であっても繁殖します。野菜の泥などで汚れがちな野菜室はもちろん、飲み物の汁が下に垂れて溜まりやすいドアポケット、生肉や生魚を保存することが多いチルド室は特に注意が必要な場所です。水気を拭き取ってから、エタノールを吹き付け、から拭きすればほぼ完全に除菌できるので、梅雨の前後や秋口など年に数回除菌してください。また、取っ手部分には細菌のほかにウイルスも付着しやすいので、こまめに拭いた方が良いでしょう。狭い場所は、キッチンペーパーや麺棒などを使って除菌してください。なお、ドアのパッキンなどに黒カビが繁殖することがあります。人体にはとくに害はありませんが、放置しておくとパッキンが劣化する原因になりますので、パッキンも定期的にエタノールで除菌するのがオススメです。
最後に食事をする際必ず使うテーブルです。きちんと除菌されていない台布巾でテーブルを拭くと、細菌やカビが付着して繁殖する恐れがあります。乾いた状態でエタノールを吹き付け、から拭きして除菌しましょう。ただし、樹脂製のものやニス加工されているテーブルにエタノールを使うと、曇ったりする恐れがあります。一度目立たない場所に少量使って確認してください。使えない場合は、清潔な布巾などで水拭きしましょう。完全には無理でも、特に心配ない程度まで細菌やカビを除去できます。
定期的に行うことで、細菌やカビは簡単に除去できます。そして、場所や物の除菌だけでなく、調理の前後に石鹸などできちんと手洗いすることも忘れないでくださいね。