ＪＡグリーン長野　生活課　　大日方瑞穂さん

　毎日ジリジリと暑い日が続いていますね。みなさん、暑さに負けず元気にお過ごしでしょうか。
　今月のＪＡアワーは『熱中症を予防して元気に農作業を』をテーマにお話しします。

　農作業に出かけられる方が多いこの季節、皆さんは熱中症対策をしっかりと行っていますか？農作業中に熱中症にかかり亡くなられてしまう人の数が毎年増加しています。また、高齢になるほど熱中症のリスクは高くなります。田畑などの屋外、ハウスや作業所などの屋内、それぞれのリスクや予防・対策をお伝えしますので、安全で快適な農作業を行っていきましょう。

　まず、高齢者がなぜ熱中症にかかりやすくなるかというと、次の４つの原因があります。
　１つ目に、のどの渇きに鈍感になることです。高齢になるほど、のどの渇きを感じにくくなります。マスクをしていると湿気のために、より感じにくくなるので注意です。
　２つ目に、熱を放出することができず、こもりやすいことです。高齢になると抹消血管が細くなり、血液の循環が悪くなります。そのため、体内に熱がこもりやすくなります。
　３つ目に、汗をかきにくくなることです。高齢になると汗が蒸発するときに、体の表面から熱を奪う気化熱による体温調節が行われにくくなります。
　４つ目に、汗の塩分濃度が濃くなりがちになることです。高齢になると汗と共に塩分も放出して、体液のバランスが崩れてしまいがちになり、結果、脱水症状を起こしやすくなります。

　熱中症にかかりやすくなる原因のほかに、環境や行動によって熱中症にかかるリスクが高まります。環境による危険は、例えば、畑など外で作業している人は、気温が高いことや日差しが強いと危険度が増します。ハウスなどの室内で作業している人は、湿度が高い、風が弱いこと、またエアコンがなく閉め切った室内だと危険度が増します。
　また行動による危険は、暑さに慣れていないことや、疲労や寝不足により体調が悪い人、糖尿病や動脈硬化などの持病がある人、激しい運動や慣れない運動をするなど、危険度が高まります。

　熱中症の症状は、頭部、消化器官、筋肉で起こり、あてはまる症状があったときは熱中症を疑ってください。
　まず、頭部の症状ではめまい、立ちくらみ、集中力や記憶力の低下、頭痛などです。2つ目に消化器官の症状は、食欲の低下、吐き気、嘔吐、下痢などです。３つ目に筋肉の症状は、筋肉痛、しびれ、まひ、こむら返り、けいれんです。作業中に１つでも当てはまるものがあった場合は、無理をせず涼しい場所で休憩するようにしましょう。

　かといって、暑い中農作業に出ず、何もしないわけにはいかないと思います。熱中症にならないために予防や体づくりを普段から行って、熱中症にかからないようにしましょう。
　まず、農作業中に熱中症にかからないための予防３原則として１つ目に、運動と牛乳で体づくりをしましょう。『ややきつめの早歩き３分とゆっくり歩き３分』のセット５回繰り返し、その後１時間以内にコップ１～２杯の牛乳を飲みましょう。牛乳に含まれる糖質とタンパク質には肝機能を高めて血液量を増やす効果があります。週に４日間行っていくと、血液の増量で汗をかきやすい体になり、熱中症予防につながります。
　２つ目に、定期的な水分補給と休憩を取りましょう。脱水症状が進んでいても、のどの渇きを感じにくい場合があります。マスクをしているとなおさら渇きが感じにくいです。渇きを感じる前から、定期的に時間を決めて水分を取りましょう。農作業をするときは、２０分おきに水分と塩分を補給し、休憩タイムを確保して、脱水を防ぎましょう。
　３つ目に、人のいない場所ではマスクを外しましょう。屋外やハウス内で人と最低２メートル以上の距離が確保できる場合はマスクを外しても大丈夫です。ただし、人が移動すると飛沫は前方だけでなく後方にも広がり、移動が速いほど後方に長く飛散します。特にハウス内での作業はしっかりと距離を取り、慎重に判断しましょう。

　他にも予防法はいろいろあります。
　まず、朝食は必ずとりましょう。寝ている間に汗をたくさんかくことで、起床後は軽い脱水状態になります。そのため、朝食を取り、失われた水分を補給することが重要です。そして和食にすることで、水分と塩分を同時に補うことができます。
　次に農作業の前には軽く汗ばむ程度の運動でウォーミングアップをしましょう。軽い運動をしておくことで、熱中症のリスクの高い環境であっても、速やかに汗をかいて体温を下げることができます。全身の筋肉をくまなく動かすことができるラジオ体操がオススメです。
　次に農作業をするにあたって身支度を整えましょう。帽子をかぶり直射日光を避ける、首周りに保冷剤を入れたタオルを巻き体温を効果的に下げる。手持ちの扇風機などを使って汗を蒸発させる。休憩時は手袋や靴下を脱いで体温を下げるなど、農作業の装備からも予防しましょう。
　他にも、汗はこまめに拭く、休むときは木陰や風通しの良い場所を選ぶことや、なるべく単独での作業は避けて仲間同士で声掛けを心がけましょう。どうしても一人で行わなければならない時は、携帯電話を常に持ち歩き、作業で異変を感じた時にはすぐに連絡を取れるようにしてください。

　最後に熱中症が疑われる症状がみられた時の応急処置法をお伝えします。まずは涼しい場所に移動して安静にしてください。着ている服のボタン等緩めて、首筋、わきの下、足の付け根を集中的に冷やしましょう。意識があれば水分と塩分を補給してください。
　また、熱中症の重症度を判断するためのチェックポイントとして、呼びかけに応えるかを確認し、応えない場合はすぐに救急車を呼びましょう。呼びかけに応えるが、水分を自分で摂取できない場合は、すぐに医療機関へ行きましょう。水分と塩分も補給したのに症状が改善しない場合も医療機関へ行きましょう。

　今年は例年よりもとても暑い日が続いています。今まで熱中症にかからなかったからといって自分の体力を過信せず、より徹底した熱中症予防を心がけてください。そして元気に農作業を行っていきましょう。