長野農業農村支援センター 後藤田葵さん
2022年8月放送
そろそろ秋野菜の作付の時期になってきます。今日は秋野菜の種まきについてお話しします。
≪秋野菜の種まきについて≫
はじめにハクサイについてお話します。ハクサイは気温が10℃を下回ると生育が低下し、5℃以下になると生長がとまります。長野地域の標高400mの平年気温は11月上旬頃に平均気温が10℃となります。そのため、11月上旬に収穫できるように生育期間を逆算して播種日を決めるとよいでしょう。例えば、種まきから収穫まで70日かかる品種の場合は11月上旬に収穫すると考えれば、8月下旬に種をまきます。ただ、あくまで平年通りの場合ですので、早めに寒くなる可能性も考慮すると概ね8月中旬に種まきを済ませるとよいと思います。畝の幅は50~60cm、株間を35~40cmの間隔で1ヵ所に3~4粒まきます。発芽して本葉3枚くらいまでに生育の悪いものや病害虫の被害があるものは抜き取ってしまい、生育の良い1本を選びましょう。
間引き後は追肥を行い、軽く土寄せをします。ハクサイは肥料をきらさないように管理することが重要ですが、結球が始まってから追肥すると葉の白い部分に黒い斑点がでる『ごま症』の発生が多くなりますので注意しましょう。ただ、この『ごま症』は病気ではなく生理障害であり、食べる分には問題はありません。貯蔵するときにも発生することもありますので、発生したからといって神経質になる必要はありません。
ハクサイが生育する時期はまだ暑い時期であり、害虫にも注意が必要です。播種後に寒冷紗や防虫ネットでトンネル被覆するのが効果的です。
栽培面積が広い場合はセルなどで育苗して苗を定植する方法もありますが、直播の方が根の張りが良くなるので丈夫に育つと言われています。
次にダイコンです。
ダイコンは直播で8月中旬~下旬が種まきの適期になります。土をよく起こし、細かく砕いておくことが大切で、ダイコンの根が伸びたときに硬い土にあたると曲がったり、股ができてしまいますので、30cm程度までよく起こしましょう。
畝の幅は50~60cmで、間隔を20cm程度1か所に5~6粒まきます。乾燥する場合は、種をまいた後にかん水を行いましょう。間引きは本葉が2~3枚の時に2本に、5枚の時に1本にします。その都度軽く土寄せを行いましょう。
また、暑い時期の種まき、生育になりますので、こちらも害虫に注意しましょう。病気を広げてしまうアブラムシや針のような穴をあけるキスジノミハムシという害虫が発生しやすくなります。登録のある農薬を使用するか、ハクサイと同様に寒冷紗や防虫ネットでトンネル被覆するとよいでしょう。
次にタマネギについてお話します。
タマネギは種から育苗した後に定植するか、苗を購入して栽培する方法があります。種まき時期は、8月下旬~9月上旬になります。種まきの際は種が隠れるくらい薄く土をかぶせ、乾燥させないように敷きワラなどをします。発芽し始めたらすぐにワラを取り除き、発芽が揃うまで乾燥させないようにすることが大切です。
育苗期間が60日以上になると大苗になって翌年に抽だいする『ネギ坊主』になりやすくなるので、茎の太さが6mm程度、草丈が15~20cmくらいの苗になるように、種まきの時期や肥料を調節します。
定植の適温は平均気温で12℃の頃です。長野市の平年気温では10月下旬~11月上旬頃になります。定植が早すぎると大きくなり『ネギ坊主』になりやすく、遅すぎると寒さに対する抵抗力が低くなってしまいます。また、タマネギは酸性土壌に弱いです。苦土石灰などで酸度の矯正も有効です。
最後にホウレンソウについてお話します。ホウレンソウは年中栽培できますが、秋まきが一番つくりやすく、おいしいものができます。ただし、乾燥する場所や排水の悪いほ場での栽培は難しく、根も深くまで伸びるため、30cm程度の深さまで耕しましょう。タマネギと同様に酸性の土壌に弱いため、苦土石灰などをあらかじめ施しておくとよいでしょう。
おわりに、農作業安全についてお話させて頂きます。9月頃からは、様々な作物で収穫もあり、大変忙しく、日も短くなってきます。終わる間際の夕方は薄暗く、きりの良いところまでと焦ってしまい、事故につながることもあります。近年は9月もまだ暑く、夕方には疲れもピークにあると思いますので、より注意が必要です。
事故に注意して、楽しい菜園にしましょう。