取材ノート
「JAアワーより」
~豆腐を食べてヘルシーな生活を~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『豆腐を食べてヘルシーな生活を』をテーマにお話します。
ヘルシーな食べ物の代表格でもある豆腐は、寒い季節には湯豆腐や鍋で熱々の豆腐を楽しむことが多いですよね。豆腐は『畑の肉』と呼ばれるほど栄養成分がたっぷりと含まれています。よく知られているように、豆腐はタンパク質が豊富であり、さらにカルシウムも多い食品です。しかしながら、意外にも脂質が多いことはご存じでしょうか。そこで今回は豆腐の栄養成分についてご紹介していきます。
まずは、豆腐全般の栄養素と効能について、木綿豆腐1丁分を例に挙げていきます。木綿豆腐1丁およそ300gに含まれるたんぱく質の量は21gで、卵1個に含まれるたんぱく質の量の2倍以上含まれています。タンパク質は、含まれるアミノ酸のバランスによって体内の利用効率が異なります。植物性のたんぱく質である大豆は、タンパク質の含有量が高く、なおかつバランスよくアミノ酸が含まれているため、体内で効率よく利用することができるのです。大豆製品の中でも、食べやすく様々な料理に応用できる豆腐は、タンパク質を補うためにピッタリの食品といえますね。
木綿豆腐1丁には、脂質も14,7g含まれています。和牛のロース100gの脂質が約22,3gなので、豆腐も1丁となると、脂質も多くなることが分かります。脂質はエネルギー源になるほか、体のホルモンや細胞膜を構成する成分にもなりますので、私たちの体にとって大切な栄養素です。しかしながら、余分な脂質は中性脂肪として体内に蓄えられてしまうので、ほどほどに摂取しましょう。
他にもカルシウムも多く含まれており、豆腐1丁あたり279mgもあります。これは30代~50代の男性の1日のカルシウム推奨量の38%を補える量です。カルシウムは骨や歯の構成成分です。骨は、おおよそ3ヶ月ごとに骨へのカルシウムを沈着させることと、骨からカルシウムを溶かしだすことを繰り返しています。実は男性は50代、女性は閉経後から、骨からカルシウムを溶かしだす量が、カルシウムを沈着する量を上回ってしまいます。そのため、食品からカルシウムを積極的に補うことが大切です。
これだけ体に良い栄養成分が含まれているため、豆腐を毎日食べてもさほど健康に悪影響はありません。しかし、ヘルシーで低カロリーのイメージのある豆腐1丁あたりのカロリーは意外にも高めの220kcalです。そのため、豆腐の食べ過ぎはカロリーオーバーとなり、肥満の原因になってしまいます。良質なタンパク質と脂質を補うことのできる豆腐ですが、1食あたり2分の1程度を目安にし、普段の食事にプラスして食べ過ぎることは避けましょう。
豆腐には絹ごし豆腐や高野豆腐もあり、それぞれに特徴があります。例えば絹ごし豆腐は木綿豆腐よりタンパク質や脂質、カルシウムの量はすくないですが、絹ごし豆腐は豆乳をそのまま固めているので、ビタミン類が流れ出にくいという特徴があります。
また、高野豆腐は、1個当たりの栄養価が高く、絹ごし豆腐2分の1丁分に相当します。高野豆腐は水分が少なく、噛み応えがあるので、ダイエット中にもピッタリの食材です。摂りたい栄養素や料理、自分の好みに合わせて豆腐を選んでみるといいですね。
効果的な食べ方として、豆腐を食べるときにはカルシウムの吸収を促すビタミンDを組み合わせることをお勧めします。
大豆を含む豆類には、フィチン酸と呼ばれるカルシウムの吸収を阻害する成分が含まれますので、牛乳などの乳製品と比較してカルシウムの吸収率が良くありません。その一方で、ビタミンDはカルシウムの吸収を促してくれる働きがありますので、豆腐を食べるときには、魚やキノコ類などビタミンDが豊富な食品を組み合わせて食べることをお勧めします。