長野農業農村支援センター 後藤田葵さん
2023年2月放送
本日は2月と3月の野菜の管理について、次にマルチの効果についてお話します。
玉ねぎは2月中旬あたりから追肥の時期になります。肥料はチッソとカリを成分量で10平方メートルあたり100gずつを2回に分けて追肥します。また、窒素同様にリン酸をまく量が過剰な場合は貯蔵中に腐りやすくなりますので、過剰な施肥には注意しましょう。基肥で入れていればリン酸入り肥料を使う必要はありません。
はつか大根は、3月下旬ころから種まきができます。数日間あいだをあけながらまくと、長い期間収穫できます。
じゃがいもは篠ノ井の標高ですと、3月下旬頃が植え付け時期となります。急ぎ過ぎると芽が出てから霜などの低温の被害を受け、生育が遅れることもありますが、おそ植えすぎると収穫量が少なくなります。
収穫後は2~3年ほ場を開けて使用し、特に昨年病気が発生していた場合は連作を避けましょう。
春まきのさやえんどうも3月下旬には種まきの時期になります。酸性を嫌う野菜なので、石灰資材を適量施用して酸度を矯正してください。また、湿害を嫌う作物でもあるので、排水性の良い土づくりを心がけると良いでしょう。
4月になると多くの野菜の種まきや定植の時期になります。凍みが緩んできたら、堆肥の施用や酸度の矯正など、しっかりと畑の準備をしておきましょう。ただし、近年では遅霜による農産物への被害が多くでています。植え付け時期を急ぎすぎないように注意しましょう。可能であれば、植え付け直後に霜が心配される日は被覆資材を使うと良いでしょう。
次にマルチについてお話しします。
マルチと言っても様々な種類があり、効果も様々です。稲わらなど有機物のマルチもあります。ポリマルチは地表面の温度を高める効果があります。そのため、気温が低い時期に栽培する作物は一般的には黒いマルチを使います。ちなみに緑色のマルチは黒マルチより地温上昇効果があります。
一方、白や銀色のマルチは、日光を反射し地温の上昇を抑える効果が期待できます。暑い時期に収穫する野菜には、白や銀色のマルチが適します。
2つ目の効果は、水分の保持です。ポリマルチは土壌中からの水分の蒸発を防ぎます。マルチをしてからは雨による水分の供給がなくなってしまうので、ある程度土壌水分があるときにマルチを張りましょう。雨が降った後など土が湿った状態で行うとよいでしょう。
3つ目の効果は雑草の発生を抑えることです。多くの雑草は、光を遮ることで発芽が抑えられ、発芽しても生育できなくなります。光を遮る色付きのマルチやわらなどを厚く敷くことで雑草の抑制が期待できます。ただし、稲わらは地温を下げる効果もあるので、霜の被害を助長してしまうことがあります。
他にも雨水の跳ね返りを抑え、汚れの防止や病気の発生を抑えることが期待されます。
マルチを張る際の注意点として、先ほどもお話ししたように、マルチを張った後は雨水による水分の供給は期待できません。土が乾いたときに張ると、植えた苗が根を張れずに生育が不良となります。ポリマルチは、あらかじめ畝をたてておき、ある程度の雨が降って1日から2日後の水分が高い時に張るようにします。そして、マルチを遅くとも定植1週間前には張っておき、地温を確保しましょう。
3月以降は定植が始まり、農作業も本格化する時期に入るので、耕運機などの農業機材を使う機会も多くなります。バックをした時の転倒や段差等の落下による事故に注意して安全作業に努めるようにしましょう。作業時には携帯電話を保持して連絡をとれるようにし、出来れば2人で作業できると安心でしょう。
最後に、まだしばらくは積雪や路面の凍結がありますので、事故や怪我には十分ご注意ください。寒い季節ですので、お体ご自愛頂き良い春を迎えられるようにしましょう。


