取材ノート
「JAアワーより」
~おいしいお茶を楽しめる、お茶の淹れ方~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『おいしいお茶を楽しめる、お茶の淹れ方』をテーマにお話します。
朝起きがけや、食事の後にじっくりと味わう一杯のお茶。心地よさが体全体に広がっていくようで何とも言えない良いものです。
お茶は今では日常的に飲まれていますが、現在のように広くお茶を飲むようになったのは江戸時代からで、煎茶や玉露の製法が開発されてからです。お茶はツバキ科の植物で、その葉を摘んで蒸したり、熟したりして加工します。
緑茶は不発酵茶といって、葉を摘み取ってから早めに加熱して葉の中にある酵素の働きを止め、酸化を起こさせないのです。
そのため、緑茶はうま味成分(アミノ酸)を多く含んでいます。アミノ酸のテアニンやGABAには、リラックス効果があるといわれています。
お茶の効用の多くは、お茶独特の渋みのもととなる成分で茶カテキンによるものです。発がんを抑える作用、血液中のコレステロールを低下させる作用、老化を防止する作用、血圧の上昇や血糖値の上昇を抑える作用、抗ウイルス作用、虫歯を防ぐ作用、口臭を予防する作用など実に多くの効きめを持つものです。
次に挙げられるのがカフェインです。眠気を覚まし、運動中の脂肪燃焼を助ける効果があります。また、ビタミンCも多く、急須でいれたお茶1杯で1日に必要なビタミンCの10分の1を摂取することができます。ほかにも各種ビタミンが含まれ、中でも多いのはカロテンやビタミンEです。カロテンは緑黄色野菜に多く含まれ、がん予防に効果があるのではないか、と近年特に注目を浴びている栄養素です。ビタミンEも老化防止効果などで非常に評価が高いものです。
お茶はその時の状況に合わせて選ぶとより体にも心にも良い効果をもたらしてくれます。朝一番は、熱めのお湯で濃いめに入れた「煎茶」「玉露」「抹茶」がオススメです。脳の働きを活発にするカフェインを多く含むため、スッキリとしたスタートにつながります。また、二日酔いの症状にも効果的です。ただし、胃の弱い方は、胃に何か入れてから飲むようにしましょう。
農作業やデスクワークには、「煎茶」「玉露」がオススメです。農作業前に飲むと、筋肉の刺激になり、作業中は水分補給になります。また、デスクワークで頭をスッキリさせたいときや眠気覚まししたいときに覚醒効果のあるカフェインが役に立ちます。
食後には、「煎茶」を熱めのお湯でやや濃いめ・苦めに入れると良いでしょう。口の中がさっぱりし、カテキンが虫歯菌の増殖を抑え、食中毒予防の効果も期待されます。脂っこい食事の後には、香ばしい「ほうじ茶」が口の中をさっぱりさせてくれます。
就寝前に飲むときは、カフェインの少ない「番茶」「ほうじ茶」、薄く淹れた「煎茶」が良いでしょう。カフェインが多い玉露や抹茶には利尿作用があり、夜中や朝方にトイレに起きてしまうため、就寝前に飲むのは控えましょう。
それでは、お茶の種類とそのお茶をより美味しく飲む方法をご紹介します。
煎茶について、煎茶には「上級煎茶」「中級煎茶」と表記されたものがありますが、これは単なる価格差ではなく、お茶を摘む時期の早さで成分量が異なり、分類されます。早く摘まれたうま味成分のアミノ酸を豊富に含んだ煎茶を上級煎茶と呼びます。中級煎茶は上級煎茶に比べると遅く摘まれ、苦み・渋みのもとであり健康成分でもあるカテキンを多く含んでいます。
煎茶は、さわやかな香りとうま味・甘み・渋みがあるのが特徴です。
美味しく煎茶を飲むための淹れ方は、お湯をしっかり沸騰させ、保温ポットなどに移します。お湯を人数分の茶碗の八分目まで注ぎます。お湯を適温に冷ますだけでなく、お湯の計量をしながら茶碗を温めることができます。次に煎茶を急須に入れます。お茶の葉の量は、一人当たり約2~3g、ティースプーン1杯くらいが目安です。茶碗に注いだお湯を急須に移します。お湯の温度は上級煎茶だと70℃くらい、中級煎茶は80~90℃くらいが適温です。急須にお湯を入れたら、1~2分待ち、急須をゆらさずに静かに茶碗に注ぎましょう。茶碗に注ぐときは「廻し注ぎ」と呼ばれる注ぎ方をしましょう。茶碗が3つあったら1つ目、2つ目、3つ目の順に少しずつ注ぎ、次に逆から3つ目、2つ目、1つ目の順に注ぎ、これを繰り返します。お茶の量や味を均等に注ぎ分けることができます。
二煎目も美味しく淹れるためには、一煎目を注いだ後の急須の中に、お湯を残さないのがポイントです。
次にサラッとした味や香りが特徴の番茶やほうじ茶を淹れるときの茶碗は厚手で200㎖ほど入るものが良いでしょう。
お湯はしっかりと沸騰させます。番茶やほうじ茶を急須に入れます。お茶の葉の量は一人当たり約3g、ティースプーン山盛り1杯が目安です。沸かした熱い湯を急須に直接注ぎます。この際やけどに注意しましょう。30秒ほど静かに待って、茶碗に煎茶の時と同じ廻し注ぎをしましょう。
ちなみに、ほうじ茶の「ほうじ」は鍋などに食品を入れて水分がなくなるまで熱するという意味の「焙じる」という言葉に由来します。ほうじ茶はその名のとおり、煎茶や番茶などを高熱で焙じて作られています。色や香りが煎茶とはずいぶん変わりますが、特別な材料を使っているわけではないようです。
最後に玉露の淹れ方をご紹介します。玉露は、うまみ成分であるテアニンを豊富に含んでいます。玉露が持つうまみを楽しむには、低温のお湯でじっくりと時間をかけて、うまみを浸出させるのが玉露の淹れ方のポイントです。
お湯はしっかりと沸騰させ、保温ポットなどに移しておきます。お湯を冷ますために、急須に注ぎそのお湯を茶碗に注ぎ分けます。お湯を適温に冷ますだでなく、お湯の計量をしながら茶碗を温めることができます。玉露を急須に入れます。お茶の葉の量は一人当たり約3~5g、ティースプーン中盛1杯くらいが目安です。50~60℃くらいまで冷ましたお湯を急須に移します。2分~2分半待って、静かに茶碗にお茶を注ぎます。玉露も廻し注ぎをしましょう。
いかがでしたか?少し手間だと思う方もいるかもしれませんが、時間があるときや、美味しいお茶をお客様におもてなししたい時などに、ぜひ試してみてください。また、お茶といっても味わいや香りは様々ですので、いろいろなお茶を楽しんでみてください。