取材ノート
「今月の健康」
~ アレルギーについて
犀南保健センター
ようやく春めいてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。本日はアレルギーについてのお話です。
『アレルギー』という言葉は普段からよく耳にすることがありますが、『アレルギー』とはいったい何でしょうか。
私たちの身体には細菌やウイルスなどの異物から体を守る『免疫』という仕組みがあります。本来なら体の中に入った有害なものを攻撃して体を守る免疫の仕組みが、有害ではないものに過剰に反応し、攻撃してしまうことで症状が引き起こされる状態が『アレルギー』です。
アレルギーの病気としては、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、花粉症などがあります。また、年齢によって『発症しやすいアレルギーが異なる』という特徴があります。子どもが乳児期に乳児湿疹を発症して、その後食物アレルギー・ぜんそく・アレルギー性鼻炎・・・と、次々と異なる時期に発症する傾向があり、これを『アレルギーマーチ』と呼びます。全ての人が必ずしもこのような流れになるわけではありませんが、近年、子どものアレルギーの病気が増加する中で、このアレルギーマーチの発症と進行を予防することが大切になっています。
食物アレルギーは乳幼児期に多く発症し、近年増加傾向にあります。湿疹によって皮膚のバリア機能が壊れると、食べ物のアレルゲンが侵入して抗体を作ります。抗体が作られた後、離乳食が入ってきたときにアレルギーの症状が出ます。皮膚に強いバリアを作り、適切な時期に離乳食をすすめることが消化の練習になりアレルギー予防に繋がります。乳児湿疹は早目の治療と正しいスキンケアが大切です。
離乳食の適切な時期については犀南保健センターで相談をお受けすることができます。毎週月・火曜日に健康育児相談を行っており、毎月第1・第3火曜日は管理栄養士にも相談ができます。離乳食やアレルギーについてなど、お気軽にご相談ください。
続いて、国民病とも言われている花粉症についてお伝えします。花粉を原因として起こる目や鼻のアレルギー反応が花粉症です。
目はアレルギー反応があらわれやすい場所です。粘膜が外気に接しているために花粉が入りやすく、白目に炎症をおこしてかゆみがおきます。一方、鼻は呼吸により外気にある花粉を吸いこみやすく、鼻の粘膜でアレルギー反応がおこり、くしゃみや鼻水が現れます。また、アレルゲンが喉に流れ込み、咳やかゆみが生じます。
花粉症の症状が現れる時期や重症度は人によりさまざまで、わずかに花粉が飛びはじめるとすぐに症状が現れる人もいれば、たくさん飛ばないと症状が現れない人もいます。
花粉症によるケアは、入り込んだ花粉などを洗い流すことが効果的です。ただし、水道水は塩素を含んでおり目や鼻を傷つけてしまいますので、市販の生理食塩水や人口涙液を利用するとよいでしょう。
また、花粉が入ってこなければアレルギー反応は起こりませんので、花粉を避けることも大切です。花粉が多く飛びやすいのは雨上がりです。雨が降ると花粉は地面に落ちるので、雨の日は飛散量が少なくなりますが、雨があがると遠くからくる花粉に加えて地面の花粉も巻き上げられるので飛散する花粉は倍増するとお考えください。最近はメディアで花粉飛散予測ができるようになりましたので、ご参考いただくとよいでしょう。
外出時は、帽子、マスク、眼鏡、花粉がつきにくいツルツルした上着を選びましょう。また、帰宅後は家に花粉を持ち込まないように玄関先で花粉を払いましょう。
自分でできる花粉症対策にあわせて、医療機関を受診する事も大切です。花粉症は症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなりますので、症状が軽いうちに症状を抑える薬を使い始めることが勧められています。
新型コロナウイルス感染症が流行していますが、花粉症の治療は感染対策としても大切です。
鼻水、くしゃみ、鼻づまり、味覚・嗅覚障害といった花粉症の症状は、新型コロナウイルス感染症と共通の症状です。花粉症の症状があると、自分がコロナウイルスに感染しているかわかりにくくなってしまいます。そして、くしゃみ1回で発生する飛沫の量は、咳の10倍以上と言われており、花粉症の症状にコロナウイルス感染が加わると、周りへの感染拡大のリスクが高まります。また、鼻をかむために顔を触ったり、目や鼻がかゆくてこすったりすると、手に付着したウイルスが体内に入るリスクが高まります。
新型コロナウイルス感染症流行中は、花粉症が本格化する前に早目の治療や対策を行いましょう。くしゃみや鼻水などの症状がある場合は、『花粉症だから』と決めつけずにかかりつけ医等へご相談ください。
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