取材ノート
「JAアワーより」
~つらい花粉症、しっかり対策して快適に過ごそう~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『つらい花粉症、しっかり対策して快適に過ごそう』をテーマにお話します。
毎年、春先には目を充血させ鼻水が止まらないという方がいるのではないでしょうか。それらの症状の多くは花粉によるアレルギー症状である花粉症です。温かく麗らかなはずの春先が憂鬱になってしまう花粉症ですが、対策を取ることで、ある程度症状を緩和することができます。今回はそんなつらい花粉症の症状を改善させるための方法をご紹介します。
花粉症は、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻の症状と、目のかゆみ、涙、充血といった目の症状を引き起こします。また、アレルギー反応を起こす花粉の種類によっては、のどや皮膚のかゆみ、咳や痰、下痢や食欲の減退、微熱といった症状を引き起こすこともあります。
花粉症は花粉に対するアレルギー反応が発生する病気です。花粉は体内に入ると、免疫機能により受け入れられるかどうかを判断されます。そして異物として排除対象と判断された場合、花粉を攻撃する抗体が作られ、花粉を体の外に出そうと抵抗するようになります。この抗体の働きがアレルギー反応であり、花粉を体の外へ出そうとする行動がくしゃみや鼻水、涙という形で現れるため、花粉が体内にある限り、それらの症状が止まらなくなってしまうのです。
花粉症を引き起こす花粉は、日本では約60種類にも及ぶと言われています。樹木から出る花粉だけでなく、草花から出る花粉も含まれています。また地域や季節によって飛散する花粉の種類が異なり、人によってアレルギーの原因物質となる花粉の種類も様々です。アレルギーの原因物質となるもっとも有名な花粉はスギの花粉です。東北から九州まで広い範囲に存在し、日本中で最も多くの花粉を振りまいています。ピークは2月中旬から4月下旬の約2か月間で花粉症の代名詞といえるほど強烈な症状を引き起こす樹木です。スギ花粉が収まる頃に出てくるのがヒノキです。3月末から5月初旬に飛散のピークを迎えます。スギほどではありませんが、飛散量はかなり多く、スギ花粉と併発させている人も多い花粉です。樹木に比べると飛散量は少ないものの、年間通じて花粉を撒き続けるのが稲です。12月から1月以外はほぼ飛び続け、春から夏にかけて飛散量を増加させます。その他にも秋口にはブタクサ、ヨモギといった草花の花粉飛散量が増加しています。
もはや国民病といえる存在となった花粉症ですが、何らかの対策をうち、わずかでも症状を軽くしたいものですよね。どのような方法で花粉症の症状を和らげることができるでしょうか。今回は病院での治療以外で普段の生活の改善などで緩和していく方法をご紹介します。
まず、症状を緩和させるため何よりも大切なのは、花粉を体内に入れないことです。花粉のほとんどは鼻と口から体内に侵入してくるため、その2つを侵入経路をふさぎましょう。花粉症用のマスクは、正しく装着することで7~8割の花粉の侵入を防ぐことができます。しかしマスクの付け方を間違えていたり、サイズが合っていなかったりすればその効果は半減します。マスクの装着時は、
1.顔に合ったサイズのマスクを選ぶ
2.マスクの鼻に当たる部分にあるノーズクリップの形を鼻に合わせる
3.プリーツを伸ばし、鼻から顎まで隠れるようにする
4.くしゃみや鼻水で内側が汚れたらすぐに交換する
以上の4つを実践してみてください。また、目の粘膜に花粉が付着しないように、花粉症用の眼鏡をかけることも効果的です。
しかし、マスクや眼鏡で対策しても100%の花粉を防ぐことはできません。ある程度は花粉が粘膜に付着してしまいますので、しっかり取り除いていきましょう。目から花粉を取り除くためには、しっかり洗眼するのがよいでしょう。洗う際には、大量の水道水は目を守る役割を持つ涙まで洗い流してしまうため、洗眼薬を使うことをお勧めします。
鼻の粘膜の洗浄には鼻うがいが効果的です。鼻うがいは液体を鼻の穴から流し込み、粘膜を洗浄する方法です。しかしこちらも、水道水などでは浸透圧が体液と異なるため、鼻の奥がツーンと痛くなってしまいます。そのため快適に鼻うがいをするための準備として、
1.水道水を人肌程度まで温める
2.1リットルの水に対して、9gの食塩を溶かした食塩水を作る
3.先が細くなっているボトルなどを使って、鼻の奥に流し込む
この方法で鼻うがいを行ってみましょう。鼻うがい専用の液剤もありますので、そちらを利用してみるのも良いでしょう。
次に花粉症はアレルギー反応のため、体の免疫力を高めることで抵抗力を上げ、アレルギー反応を抑えることが期待できます。免疫機能が正常に働くことで、花粉症特有のアレルギー症状の発生を抑えられます。免疫機能をつかさどる免疫細胞の約60%は腸に集中しているため、腸の環境を整えることが正常な免疫機能の活動につながります。乳酸菌は腸内環境を整える働きがあると知られていますが、免疫細胞のバランスを整える働きも持っています。ヨーグルトやチーズ、味噌やキムチなどの発酵食品を食べることがオススメです。
他にも食物繊維を摂ることも効果的です。食物繊維は腸内環境を整える働きだけでなく、乳酸菌などの善玉菌のエサになるため、腸内を整える善玉菌の増加を促してくれます。
また、生活習慣を見直し免疫力を向上させることで、花粉症の症状を抑えることも期待できます。まず、バランスの取れた食事をしましょう。先ほど紹介した乳酸菌と食物繊維の摂取も含め、栄養バランスの取れた食事を摂ることが免疫力の向上につながります。特に脂質の摂り過ぎは善玉菌を減らす悪玉菌を腸内に増やすことにつながるため、脂っこいものや肉類は摂り過ぎないように注意しましょう。香辛料など刺激の強い食べ物は、鼻の粘膜を刺激するため、アレルギー反応を促進させる恐れがありますので、こちらも摂り過ぎないようにしましょう。
お花見をしながらお酒を嗜む方もいるかと思いますが、アルコール花粉症のアレルギー反応を悪化させる恐れがあります。アルコールを分解するときに発生するアセドアルデヒドは、アレルギー症状のもとになるヒスタミンの発生を促してしまいます。また、アルコールは血管を拡張させるため、鼻の粘膜の浮腫みや鼻詰まりを促進させてしまうので、花粉症の季節はアルコールの摂取を控えることが必要です。
同様にタバコもアレルギー反応を悪化させる原因の1つです。タバコの煙は鼻の粘膜を刺激するため、鼻の症状を悪化させます。タバコの煙は喫煙する本人だけでなく、周囲への受動喫煙の影響も大きいため、普段以上に花粉症のシーズンはタバコを控えるように心がけましょう。
花粉症は今では日本人の25%が発症しているという国民病であり、今なお人数は増加しています。花粉症は一度発症すると治療は簡単ではなく、完全に治すことは難しいといわれています。しかし、アレルギー反応がでる花粉のシーズンに適切な対応をし、免疫力を高めるよう習慣を身につければ、その症状を緩和させることは十分可能です。今からでも生活習慣を見直し、免疫力を向上させ、快適な生活を過ごせるように対策していきましょう。