取材ノート
「JAアワーより」
~栄養豊富なチーズを食べよう~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『栄養豊富なチーズを食べよう』をテーマにお話します。
料理やデザートに使うもよし、そのまま食べるもよしのチーズ。好物にチーズをあげる方も多いのではないでしょうか。
チーズは生乳を乳酸菌や酵素によって固体状にし、さらに発酵させたものです。今回は多くの人に愛されるチーズの栄養や種類ごとの違いや、健康への影響についてご紹介します。
まずはじめに、チーズの栄養素と効果についてお話します。
チーズは乳製品に分類されます。チーズに限らず乳製品は、カルシウムとタンパク質が豊富な食材ですのでチーズもカルシウムやたんぱく質が豊富な食材となります。そんなチーズにはどのような栄養素がふくまれ、どのような働きをしているでしょう。
一つ目に、体のもととなるタンパク質です。たんぱく質は筋肉や皮膚、臓器、抗体、ホルモンなど私たちの体の材料となる重要な栄養素です。
二つ目に、細胞の材料にもなる脂質です。チーズは脂質も豊富で、脂質が約25~30%を占めています。脂質が多いと聞くと、不健康なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし脂質は生きていくうえで不可欠な栄養素です。エネルギー源となるほか、私たちの体の細胞を作るときにも使用されます。また、チーズの脂質は熟成される段階で、分解され消化吸収されやすい形になります。つまり、チーズの脂質は効率の良いエネルギー源となるのです。
三つ目に、骨の健康を守るカルシウムです。カルシウムは骨や歯の材料になったり、血液の凝固や筋肉の収縮にも関わったりする栄養素です。無理な食事制限などにより、カルシウムの摂取量が不足すると、骨粗しょう症の発症リスクが上がってしまいます。
四つ目に、体の調子を整えるビタミンです。ビタミンは体内で作ることができないため、食事を通して摂取する必要があります。チーズに豊富に含まれるビタミンは、ビタミンAやビタミンB2です。ビタミンAの働きは、目などの粘膜を健康に保つことや暗い場所でも視力を維持すること、抵抗力を高めることなど多岐にわたります。一方ビタミンB2の役割は糖質、たんぱく質、脂質からエネルギーを産生するのを助けることです。『発育のビタミン』とも言われ、発育促進に関わることや、細胞を作り出すことにも関係しています。ですので、不足すると皮膚炎や口内炎などになりやすくなります。
ここまでチーズに含まれる主な栄養素についてご紹介しましたが、チーズには種類が多いけれど、それぞれ栄養素にちがいがあるの?と疑問が浮かんできますね。現在チーズは世界でなんと1000種類以上あるといわれ、大きくはナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。
ナチュラルチーズは生乳を乳酸菌や酵素によって固形状にし、熟成させたものを指します。1年以上かけてじっくり熟成するものから、熟成させないフレッシュチーズまで、種類が豊富です。
一方で、プロセスチーズは2種類以上のナチュラルチーズを混ぜて固めたもので、長期保存ができるのが特徴です。スーパーなどでよく見かけるスライス状のチーズや、扇状のチーズはプロセスチーズです。
一般的によく食べられるチーズの種類のなかで、100gあたりに含まれるタンパク質とカルシウムの量が多い物は、パルメザンチーズ、チェダーチーズ、プロセスチーズです。パルメザンチーズやチェダーチーズのタンパク質量やカルシウム量が多い理由は、水分量の少なさです。水分が少ない分凝縮されているので、栄養素がギュッと詰まっています。パルメザンチーズとチェダーチーズを食べると、効率よくタンパク質やカルシウムを摂取することができますが、水分が少なく、成分がギュッと詰まっている分、他の種類のチーズと比べてカロリーも高くなりますので、食べ過ぎには注意しましょう。ただ、チーズはとても腹持ちがよいので、朝や昼、間食に食べると空腹が満たされるので、ダイエットにオススメです。
最後に、牛乳で簡単に作れる『カッテージチーズとホエー』の作り方をご紹介します。くせがなくミルキーですっきりした味のカッテージチーズと、だしの代わりに使えるホエーは、どちらも料理に活用できます。
≪材料≫
・牛乳・・・1リットル
・米酢・・・60ミリリットル
≪作り方≫
1.鍋に牛乳を入れて弱火にかけます。沸騰させないように注意して
60℃くらいまで温め、火を止めます。
2.酢を入れてかき混ぜます。分離してきたら、そのまましばらく置いて
おきます。
3.粗熱が取れ、ほろほろとした固体と水分に分離したら、キッチン
ペーパーを敷いたザルに注いでこし、約20分置いておきます。
4.水っぽさがなくなったら、キッチンペーパーで包んだ上からヘラで
押して水気を絞り完成です。
固形のものがカッテージチーズ、絞って出た水分がホエーです。
出来上がりの量は、水切り具合によって多少の差が出ます。
カッテージチーズは、クラッカーの上にのせジャムと一緒に食べたり、サラダに混ぜ合わせたり、キノコの炒め物に混ぜたりするとうまみと溶け合い、とってもおいしいです。
ホエーは、タンパク質や炭水化物などの栄養も豊富で、出汁の代わりになります。お肉をホエーと合わせれば、ふっくら柔らかなお肉になりますので、ぜひ試してみてください。