取材ノート
「JAアワーより」
~たんぱく質を摂って筋力アップ!~
JAグリーン長野 生活課 大日方瑞穂さん
今月のJAアワーは『たんぱく質を摂って筋力アップ!』をテーマにお話します
近年、問題となっている高齢者の『低栄養』。たんぱく質やエネルギーの摂取不足が要因とされ、実際に現代の日本人の1日のたんぱく質の摂取量は、戦後間もない1950年代と同水準まで落ち込んでいます。低栄養の状態が続くと、加齢によって筋肉量が減少してしまうサルコペニアになるリスクが高まり、さらにサルコペニアによって体を動かさなくなると、要介護の前段階『フレイル』にもなりかねません。
サルコペニアを防ぐには、日々の適度な運動に加え、食生活では筋肉をつくるのに必要なたんぱく質をしっかり摂ることが重要です。筋肉をはじめ、私たちの体の約20%はたんぱく質で作られていて、骨格・内臓・皮膚や毛髪など、体のあらゆる組織を構成するために必須の栄養素です。さらに、中高年になるとたんぱく質の吸収率が低下するため、若年層よりも多く摂取する必要があります。
では、たんぱく質の1日に必要な量はどのくらいだと思いますか。1日に必要なたんぱく質の量は、体重1キロ当たり1,2gが目安とされています。例えば、体重50キロの人では『50×1,2=60』なので、1日に60gのたんぱく質が必要です。
たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、たんぱく源となる食品によって含まれるアミノ酸が違い、体内での働きも異なるので、さまざまな食品を食べることが重要です。また、体内で使われなかったアミノ酸は排出され、蓄えることができないため、できれば1日3食たんぱく質を摂るように心がけましょう。
気を付けたいのは、食品の重量=たんぱく質量ではないことです。次にあげる食品はたんぱく質量が多く、脂肪分が少ない食品で、中高年の食事に取り入れていただきたいものです。それぞれ食品100gあたりのたんぱく質量は、豚もも肉20,5g、鶏ささ身23,9g、サバの水煮缶20,9g、マグロの赤身26,4g、卵12,2g、納豆16,5gなどとなります。すべての食品の数値を把握するのは大変なので、肉・魚介類は重量の5分の1と覚えておきましょう。
たんぱく質をしっかり摂ることは重要ですが、体内でのたんぱく質の働きを円滑にするためには、ビタミンやミネラルなどいろいろな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。毎日の献立は、たんぱく質が多めの主菜に、ビタミンやミネラルが豊富な野菜を使った副菜、足りない栄養を補う汁もの、炭水化物が主成分のご飯を合わせると、摂取する栄養が偏ることなく、体内でのたんぱく質の分解吸収もスムーズになります。
最後に、毎日無理なく作っておいしく食べられるように、高たんぱくで手軽に使える食品を活用して短時間で作れるレシピをご紹介します。
肉の主菜を作るときは、脂身の少ない部位を使い、火が通りやすいしゃぶしゃぶ用肉や、ひき肉、鶏ささ身などを活用しましょう。
今回は、『ささ身とネギのマヨネーズチーズ炒め』をご紹介します。
≪材料≫ 2人分
鶏ささ身 4本(200g)
長ネギ 1/2本(50g)
シメジ 50g
マヨネーズ 大さじ2
粉チーズ 大さじ3~4
サラダ油 小さじ2
≪作り方≫
1.ささ身はまな板に並べてラップをかぶせ、手のひらで
軽く10回たたき、サラダ油を絡めます。
2.ネギは5cm長さの斜め切りにし、シメジは石突を除いて
ほぐします。
3.フライパンを中火にかけて30秒温め、ささ身とネギと
シメジを並べます。4分焼いて焼き色がついたら上下を
返し、さらに2~3分焼いて肉に火を通します。両面
しっかり焼けたら、マヨネーズと粉チーズ大さじ2~
3を順に加えてまんべんなく絡めます。最後に器に盛り、
残りの粉チーズを振りかけ完成です。
たたいたささ身は柔らかく、マヨネーズでしっとりします。
お子さんも食べやすい一品です。
肉や魚介、野菜やご飯を偏りなく食べれば、たんぱく質は
無理なく摂れます。しっかり3食食べ、筋力アップし、元気な
毎日を過ごしましょう。