長野農業農村支援センター　後藤田葵さん

　　　

　本格的に寒くなってきました寒
　寒さと言えば、野沢菜などは寒さに当てる『寒じめ』をすることで甘くなります。これは植物が凍らないよう糖分をため込むことで甘くなると言われています。

　さて今日は、一年間の気象の振り返り、土づくりや堆肥の話、来年の作付け計画と連作障害についてお話します。

　まずは一年間の気象を振り返ってみましょう。

　１月２月は寒暖差が大きい週もありましたが、平年並みの寒さとなりました。３月上旬から４月中旬までは気温が平年よりも高く、晴れた日が多かったですが、昼夜の寒暖差が大きかったため、リンゴや植え付け直後の野菜などで凍霜害が発生する地域が見られました。
　６月は気温が平年並みでしたが、7月以降は平均気温を大きく上回り、夏の日本の平均気温は１８９８年以降で最も高く、暑い夏になりました。
　9月にかけても、暖かい空気に覆われやすかったため平均気温は高い状態を維持し、降水量は少なくなりました。１２月に入ってようやく冬の寒さが感じられるようになってきています。

　特にここ数年乾燥が続いたかと思うと、雨ばかりといった極端な気象変化がある年が続いています。お天道様にはかないませんが、少しでも気象変化に影響されずに野菜等を栽培するために、根をしっかり張らせることが最も大切なことです。そのためにも土づくりを丁寧に行いましょう。

　土づくりで大切なポイントは土を深く起こすことと、堆肥をまくことにより土をやわらかくし、水はけを良くすることです。

　まずは、土を起こす深さについてお話します。一般的な歩行型の耕運機や管理機で起こせる深さは１０ｃｍ～１５ｃｍ程度です。ただし収穫の終わった畑を掘ってみると、約３０cmの深さまで多くの根が伸びていることがわかります。さらに、一部の根は更に深いところまで伸びていて、比較的根が浅いキュウリですら、条件が良ければ一部の根は深さ９０cm付近まで伸びますし、トマトも深さ１ｍ以上まで根が伸びます。余裕のある時に様々な種類の野菜の根元を掘ってみると良いでしょう。

　さすがに1ｍの深さで起こすことは現実的ではありませんが、耕運機や管理機で３回ほど耕せば、より深く起こすことができます。なるべく深く起こすことで根が張れる部分を増やし土壌の排水性が改善されますので、２年から３年に１度は出来る限り深く起こして、しっかりとした根が張れる畑を作りましょう。
　植物にとって水は必要ですが、水がたまってしまうと根が呼吸できなくなり、腐ったり、病気の発生も多くなってしまいます。

　次に堆肥についてお話します。堆肥は排水性や保水性などの土の物理性の改善や、連作障害を緩和する効果がありますので、積極的に使いましょう。

　堆肥の種類は家畜などの動物由来のものや、木や藁などの植物由来のものなど様々ありますので、種類に応じて投入量を調節してください。１㎡当たり１ｋｇ～３ｋｇを目安にまき、必ず嫌な匂いのしない完熟した堆肥を使用しましょう。

　冬の間は次の作付計画を立てるのに最適です。

　どこに何を作るのか、どのくらい作るのか、冬の間に計画しておきましょう。


　まず考えたいのは、同じ場所で同じ種類の野菜を作る『連作』をしないことです。連作をすると生育が悪くなったり、病気が出やすくなったり障害が出ます。できればハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコンなどのアブラナ科野菜や、ジャガイモは２～３年は同じ場所につくらないようにしましょう。特にトマトやナスの青枯れ病などが発生してしまった場合は、連作しないようにしましょう。
最近、篠ノ井では『小森ナス』という、伝統野菜の栽培者が更科農業高校を中心としてひろがってきています。栽培される場合は、連作障害にならないよう注意して定植して下さい。

　連作障害の少ない野菜は、ネギ、タマネギ、さつま芋、ニンジン、オクラ、かぼちゃ、スイートコーンなどです。これらの作物をうまく組み合わせた輪作を意識して作付け計画を立てましょう。

　連作や日当たりのことを考慮すると、限られた面積では難しいですが、畑を７区画位に分けて、２種類くらいの作物を組み合わせ、1年ごとに区画をずらして栽培すると、連作障害の心配が少なくなります。また、連作障害は堆肥を入れたり耐病性品種や接ぎ木苗を利用することで緩和できますので、面積が限られている場合には積極的に活用しましょう。

　最後に、畑を耕す際は安全に十分注意して事故が無いよう心がけましょう。特に耕運機などでターンする際は障害物のあるような狭い場所は気を付けましょう。

　ただいま、高校生と一緒に種まきから収穫まで、交流をしながら小森ナスの栽培をしてくださる方を募集しています。作業は、令和６年１月下旬から行います。興味のある方は、長野農業農村支援センターの生産振興課・電話０２６－２３４－９５１４までお電話ください。

これからますます寒さが厳しくなります。体調管理にお気をつけ下さい。