長野農業農村支援センター 後藤田葵さん
今回は、これからのトマト・ナス・キュウリの管理を中心にお話します。
一般的に作物が成長する勢いのことを、『草勢』や『樹勢』と言います。草勢が『強い』とか『弱い』といった表現でその作物の生育・栄養状態を表します。一般的に野菜類では草勢の判断は先端付近の茎の太さや、葉の色、葉の形で判断できます。茎が太く葉の緑色が濃ければ草勢は強く、一方、葉の色が薄く、花が落ちてしまったり、奇形になった場合は草勢が弱いと言えます。また、トマトなどは草勢が強すぎると花がつかなくなる場合もありますので、注意が必要です。
トマトでは、開花した花房のすぐ下の茎の太さでも判断できます。品種によって多少差がありますが、直径が概ね8mm程度が適正な草勢と言われています。また、一番上の葉は軽く広がったような状態が理想です。葉がごわごわして、色が濃く下側に反り返っているようでは草勢が強すぎます。強い場合は肥料の時期を遅らせて草勢を抑えます。
ちなみに、葉の付け根から出るわき芽は小さい時期に全て取り除き、葉に光が良く当たるようにしますが、草勢が強い場合はわき芽がきを遅らせることでも草勢を抑えることができます。
次にナスについてお話します。ナスは開花している花の上の節に次のつぼみがついていないようであれば少し弱っているので、追肥や潅水が必要になります。また、ナスやピーマンの花はめしべが雄しべよりも長い花が標準です。めしべが短くなっていれば草勢が弱っているしるしです。早めに追肥や潅水をしましょう。
次にキュウリです。キュウリは葉の付け根から子づるが出ます。本葉5枚目までの子づるは全て切除します。6節目以降から出る子づるは伸ばし、草勢が弱い場合は子づるの葉1枚、草勢が強ければ2枚残して摘心して子づるが伸びるのを止めます。また、古くなった葉は病気の発生源になりますので、収穫が終わった節より下側の色の薄い葉は取り除きましょう。ただし、一度にまとめて取ると、草勢が低下してしまいますので、取り除く葉は1日に2枚ぐらいまでにしましょう。
次に病気と害虫についてお話します。
一般的に病気を発生させないためには、まず雨に当てないことが大切です。葉が雨に当たると目にみえない小さなキズができます。そこから病気が発生する場合や雨粒のはね上がりで病原菌が飛び散り病気が広がることがあります。畝ごとに設置する簡易的なもので構いませんので雨よけを設置すると病気を防ぐことが出来ます。また過繁茂になっていると、風通しが悪くなり、湿度が高まり病気が発生しやすくなります。そういったほ場では防除がしにくく農薬散布しても薬剤がうまくかからないため、効果が劣りますので注意が必要です。
次に害虫です。この時期にみられる害虫の1つにアブラムシがあります。アブラムシはウイルス病をうつしたり、植物の汁を吸い元気を奪ってしまう厄介者です。アブラムシは柔らかい先端の葉や花につくことが多く、放っておくとわずかな期間で大発生します。また、植物にアリがいればアブラムシがいると思って間違いありません。また、アブラムシは普段は移動距離が短い虫ですが、羽の生えたアブラムシが生まれ、飛んで移動するようになり被害が拡大します。羽の生えたアブラムシが出てくる前に退治したいものです。なお、農薬を使用するときは
製品のラベルをよく読み、内容にしたがって使用していただくようお願いします。
最後に農作業安全についてお話いたします。
残念ながら農作業中の死亡事故が今年も多く発生しています。県内では令和4年度は9名の方が亡くなっています。
歩行型の耕運機や管理機の場合、バックすると転倒してそのまま耕うん機にひかれたり、後方の障害物との間に挟まれたり、大変危険ですのでバックをしないような作業工程となる様に工夫しましょう。やむを得ずバックする場合には、後方の状況をしっかりと確認して安全を確保します。
また、最も事故数が多いのは刈り払い機を使った草刈り作業です。軽量で便利な機械ですので、お持ちの方も多いと思います。取扱説明書をよく読み、必ず正しい使い方をしましょう。
これからどんどん暑くなりますので、農作業をするときは定期的な水分補給と適度な休憩を心がけて、楽しい菜園にしましょう。