長野農業農村支援センター 後藤田葵さん
今年の夏も非常に暑く、人にとっても作物にとってっも大変な年となりました。10月下旬から秋も深まり、ようやく涼しさが顔を見せるようになりました。暑さで衰え気味だった食欲も、涼しくなり、おいしい秋の収穫物を前に戻ってくるのではないでしょうか。
気象庁によると10月、11月の気温は平年並みか高く推移する見込みであり、いつもより暖かい秋となると予想しています。しかし油断は禁物です。急な霜が来ることに備えて、天気予報を見ながら秋野菜の収穫時期を見極めましょう。
さて、今回はサツマイモ・野沢菜・ハクサイ・ダイコンの収穫と、玉ねぎの定植、サヤエンドウの越冬栽培についてお話します。
まずはサツマイモの収穫についてお話します。サツマイモは8月上旬頃から急激にイモが肥大します。地温が20℃を下回ると肥大が停止し、収量が増加しなくなります。霜にあたると貯蔵性が低下して腐敗しやすくなりますので、その前に収穫しましょう。サツマイモのようにでんぷんの多い野菜は、収穫直後よりも3週間ほど貯蔵したほうが甘みが増しておいしくなります。収穫したサツマイモは、数日間日陰で干してしっかり乾かします。その後、1つずつ新聞紙で包んでから、穴をあけた段ボールや発泡スチロールなど、通気性の良い入れ物に入れて保存しましょう。土付きで保存すると、より長持ちするようになります。
次に野沢菜です。野沢菜の収穫期は、一般的に草丈が50~60cmになった頃になります。収穫前に霜に2~3回遭わせると、アクが抜け、甘みが出てきて味が良くなります。ただし、長く置き過ぎると葉が固くなるため、タイミングを見て収穫しましょう。野沢菜は地下部の『カブ』も食べることができるので、根っこごと引き抜いて収穫することもできます。この『カブ』は漬物やみそ汁の具などにできます。
次にハクサイです。収穫の目安は、頭を手でおさえてみて、ある程度固く締まっている株から収穫できます。貯蔵は、収穫前であれば外側の葉で結球部分を包むようにひもで縛ると、霜に当っても結球部分を食べることができ、長く保存できます。室内で貯蔵する場合は、ハクサイを陰干しした後、1個ずつ新聞紙に包んで温度変化の少ない冷暗所に置くと、1ヶ月ほど保存できます。
次はダイコンでです。ダイコンは収穫が遅れると”ス入り”と言って、中に空洞ができてしまいます。一般的な品種『耐病総太り』は播種後60日が収穫」タイミングです。2~3本試し抜きをして、収穫時期を確認しましょう。
次にタマネギの定植についてお話します。
県内の玉ねぎは秋に定植をして、畑で冬を越し、翌年6月に収穫するのが一般的な作型です。上手に作るためには定植時期を逃さないことと苗選びがポイントになります。
まず、定植の時期ですが、平均気温が12℃となる頃が最適です。定植が遅すぎると活着が遅れてしまい、根がしっかり張れずに翌年の生育が悪くなったり、凍み上がって枯れてしまいます。反対に、定植が早すぎると、大苗の場合収穫前にとう立ちして花が咲き、玉も太らず固くなってしまいます。とう立ちしてしまった場合は、できるだけ玉を太らせるために、蕾のうちにとうを切り取ると良いでしょう。切り取った蕾は、ネギ坊主の天ぷらとして食べることができます。
次に苗の選び方です。苗の長さは20cm~30cmで葉が真っ直ぐに伸びて、根が良く伸びているものが理想的です。品種によっても異なりますが、茎の直径が概ね5mm~7mmのものを選びます。根元の白い部分が長いもの、膨らんでいるもの、曲がっているものは使用しないようにしましょう。定植前に過リン酸石灰50~70gを水20ℓに溶かした液に浸漬すれば活着が早く良好となります。また、太く成長した苗は寒さに当たるととう立ちしてしまいますので注意が必要です。
肥料は、定植の1週間前にBB肥料などを10㎡あたり1,3kg程度。短冊型の平畝を作り、そこへ条間20cm~25cm、株間10~12cm、深さ2~3cmで苗の根元が土の表面に出ないように土に差し込みます。ただし、深めに植えると翌春の生育が悪くなるので、根元から葉が分かれている部分までの半分の位置までの深さにします。苗の凍み上がりを防ぐために、植え付けた根元を足で踏みつけておきます。
次にサヤエンドウについてです。冬に凍み上がりの酷くない、標高600mくらいまでの地帯では越冬栽培が可能です。越冬栽培では10月下旬から11月上旬に播種します。
連作に弱く、酸性土壌にも弱い野菜です。5年くらいサヤエンドウを栽培していない場所で、石灰資材を投入して土壌酸性を矯正してから栽培しましょう。湿害にも弱いので高めの畝をつくり、播種は株間10cm~12cm、1か所に3~4粒にします。越冬時の大きさは、本葉2~3枚程度が最も寒さに強いと言われています。寒さが厳しい12月下旬~2月頃にかけては寒さ対策が必要で、株が隠れる程度にもみ殻をかけたり、畝全体に不織布をかけたりします。春になって気温が上がり、再び成長を開始したら間引きを行い、1本にします。来年の5月の連休あたりから収穫できるようになります。
最後になりますが、野菜を栽培した畑では、収穫後の管理もとても大切です。収穫が終わった後の茎や葉は、すみやかに片付けましょう。特に病気が発生した茎や葉をそのまま畑にすき込んでしまうと、越冬して翌年にまた発生してしまう場合があります。なるべく畑の外に持ち出すか、畑の隅の作物を植えない場所にかためて埋めましょう。
また、日も短くなり、夕方の作業を急いでしまうこともあると思います。薄暗く、事故が発生しやすい時間帯にもなりますので、早めに作業を切り上げられるように余裕のある作業日程にしましょう。仮に遅くなってしまっても、『夜道に日は暮れぬ』という諺もあります。焦らず安全を確保して作業を締めくくりましょう。