取材ノート
「JAアワーより」
~賢く冷蔵庫を使いこなして家計の改善を~
JAグリーン長野 生活課 藤澤瑞穂さん
今月のJAアワーは『賢く冷蔵庫を使いこなして家計の改善を』をテーマにお話します。
どの家庭にもある冷蔵庫ですが、実は多くの人が食材の保存方法や収納法を勘違いしています。そこで今回は誰でもすぐに実行できて、食材や電気代の無駄を省けるテクニックや意外な冷蔵庫の活用法をご紹介します。
まず、冷蔵庫の正しい使い方で基本の7つをご紹介します。
一つ目は『冷蔵室はゆったり、冷凍庫はギッシリに』です。冷蔵室に物を詰め込み過ぎると冷気の循環が悪くなり、保冷力がガクンと落ちます。常に3分の1ほどスペースを空けておくように意識しましょう。冷蔵庫内が均一に冷え、食材がより長持ちします。逆に冷凍室はギュウギュウに詰め込むくらいが理想的です。凍った食品が保冷剤の働きをして、保冷力が高まります。開閉時に冷凍室の温度が上昇するのを防げるため、電気代の節約にもなります。
二つ目は『冷気の吹き出し口の付近に物を置かない』です。冷気の吹き出し口を塞いでしまうと、庫内が冷えにくくなり、余計な電気代を使ってしまうことになります。また、庫内で一番冷える場所なので、食材が凍ってしまうことも。ビールや炭酸飲料の場合は、容器が破損してしまう恐れもあります。冷蔵室に物を置くときは、必ず吹き出し口から間隔を空けるように意識しましょう。
三つ目は『日持ちしない食品や消臭剤は下段に』です。冷気は下にたまりやすい性質があるので、庫内の温度は上段よりも下段の方に置くのがオススメです。また、嫌な臭いも冷気の流れと共に下にたまりやすいので、消臭剤は庫内の下段に置くと、効率よく臭いを吸い取ってくれます。
四つ目は『見やすく取り出しやすい収納で使い忘れ防止』です。野菜室と冷凍室は食材の使い忘れが発生しやすい場所なので、収納にひと工夫しましょう。野菜室で特に注意したいのは使いかけの野菜です。大きさや形の異なる様々な野菜の下や野菜室の隅に紛れてしまいがちなので、カゴやトレーにひとまとめにしておくのがオススメです。また、だいたいの冷蔵庫は冷凍室が下にあるので、食材を寝かせて積んでしまうと、上から見た時何がどこにあるのかわかりづらく、取り出しにくくなります。そのため、冷凍用の保存袋に入れて、立てて収納するのが正解です。欲しい物がすぐに取り出せるので、冷気が逃げるのを最小限に抑える効果もあります。
五つ目は『お手軽汚れ防止テクでキレイをキープ!』です。低温下でも雑菌やカビは繁殖するので、冷蔵庫の中はなるべくきれいな状態を保ちたいもの。とはいえ、食品を全部取り出して掃除をするのは面倒ですよね。そのため、野菜室やドアポケットといった汚れやすい場所にはあらかじめ新聞紙やキッチンペーパーなどを敷いておくと掃除の手間を大幅に減らせます。交換の目安は1~2か月に1回です。その際、手垢などが付きやすいドアの取っ手は重曹水をかけて拭い、さらに庫内の冷えて固まった汚れは温かいタオルで拭いてきれいにすると良いでしょう。仕上げに酢水やレモン水をかけて拭き取れば、雑菌や消臭に効果があります。
六つ目は『季節ごとに冷蔵庫の温度設定を変えて節電・節約』です。温度調節のコントローラーを一度も触ったことが無い人は少なくないはず。しかし、暑い夏は冷蔵庫の温度も高くなり、逆に寒い冬は低くなります。そのため夏は温度を下げ、冬はちょっと上げるという具合に、衣替え感覚で定期的に設定温度を変更すると効果的に冷やすことができます。設定温度が高いほど、基本的に消費電力は減ります。冷蔵室の設定温度を『強』から『中』にした場合、年間で約1,300円電気代が抑えられるという実験結果もあるので、適切な温度設定を意識し、節電や節約に繋げましょう。
七つ目は『家の状況によって買い替えも検討する』です。最新型の冷蔵庫の消費電力は10年前と比べて3分の2以下となっており、大きく省エネが進んでいます。また、容量が大きいからといって、消費電力が増えるわけではありません。余裕のあるサイズにすれば、冷蔵室の7割以下収納も守りやすくなり、グンと消費電力を省きやすくなります。『ずいぶん長く使っている』『冷蔵室がすぐいっぱいになる』という場合は、買い替えも視野に入れましょう。
次に食品ロスを防ぐ冷蔵庫の上手な保存術をクイズ形式でご紹介します。〇か×でお答えください。
第1問 ホウレンソウなどの葉物野菜は寝かせた状態で保存すると鮮度が保てる。
答えは×です。ホウレンソウや小松菜などは栽培時のように根を下にして、立てて保存すると長持ちします。野菜室にペットボトルを半分に切った容器などを置き、そこに入れるのがオススメです。さらに乾燥を防ぐためにポリ袋などに入れておくのも忘れないでください。
第2問 マヨネーズはフタを上に、ケチャップはフタを下にして保存する。
答えは×です。マヨネーズは空気に触れると酸化しやすいので、フタを下にして収納し、空気を入れにくくすることが大切です。逆に分離しやすく、水分が下にたまりやすいケチャップは、フタを下にして収納していると、使う時に水分だけが出てしまいがちです。必ずフタを上にして収納するようにしてみましょう。
第3問 もやしの保存に一番適しているのはチルド室である。
答えは〇です。もやしは温度が高いとすぐに変色したりします。
そのため、野菜室よりも温度が低いチルド室で保存するのがベストです。3日ほど長く鮮度をキープできます。そのとき袋につまようじで3カ所ほど穴をあけておくと、もやしの呼吸が助けられるので、更に長持ちさせることができます。
第4問 バナナは1本ずつラップで包み、ポリ袋に入れてから野菜室で保存すると長持ちする。
答えは〇です。バナナは常温保存だとどんどん追熟が進むため、すぐに皮が黒ずみ、果肉が柔らかくなってしまいます。日持ちさせるためには、1本ずつラップで包んでポリ袋に入れ、野菜室に入れておくと良いでしょう。追熟を抑えることができ、常温と比べて半月ほど長く買った時の状態が保てます。
第5問 箱入りの棒アイスは箱ごと冷凍室に入れると良い。
答えは×です。棒アイスの箱は、そのままでも場所を取るうえ、中身が少なくなれば無駄なスペースを生むことになります。アイスは箱から出して冷凍用保存袋に入れて冷凍しましょう。この時、保存袋の口を外側に折り返した状態にしておけば、取り出しもスムーズになります。
クイズは何問正解できましたか?間違った方法で冷蔵庫を使用していた方は、今日から冷蔵庫内を見直して、食品ロスを防ぐための保存方法や、節電節約に繋げる活用法を実践していき、上手に冷蔵庫を使っていきましょう。