長野農業農村支援センター 二ツ山 柴野さん
いよいよ家庭菜園も本番を迎える時期となりました。気象庁の向こう1ヶ月予報では、4月の平均気温は平年より高い確率が50%と予想されていますが、4月、5月になっても、寒の戻りで霜が降る危険があります。霜予報が出た際には、被覆資材を使用するなど保温対策を徹底しましょう。
本日は、ジャガイモやネギの栽培についてと、その他の野菜の植え付け時期についてお話します。
まず、ジャガイモについてお話します。ジャガイモを作るうえで注意してほしいことは、連作しないことです。ジャガイモだけでなく、同じナス科であるナス・トマト・ピーマンなどを栽培した場所は避けて栽培しましょう。特に、前年にこれまでは見られなかった斑点が葉に現れるなどの症状が発生していた場所は注意が必要です。
種イモの植え付け時期は、凍霜害を考慮し、標高によって変わってきます。標高400m以下の善光寺平は3月下旬から、標高700mでは4月上中旬からが目安となります。
ジャガイモの生育適温は夜間10℃と日中23℃です。4月後半にもなると急速に気温が上昇するので、植え付けは遅れないように注意しましょう。
植え付ける種イモは、1個30~50g程度とします。種イモは大きいほど1株当たりの収量が多くなりますが、茎の数が多くなり過ぎて、イモの大きさは揃いが悪くなります。このため、大きい種イモは芽がついている方を上にして縦に切り、この際必ず2~4個の芽がつくようにします。種イモを切った後は、2~3日日陰で乾かしてから植え付けます。
植え付ける畝幅は60~70cm程度、株間は30cm程度が標準です。種イモは切り口を下にして植え付け、5cm程度土をかけます。凍害を受けやすい地域では、8cm程度のやや深植えにしましょう。
収穫を多くするためには、栽培の途中で土寄せを行います。霜の害を防いだり、雑草の抑制やイモの数を増加させるなどの効果があります。土寄せの時期は、芽が土から頭を出し始める時期と、芽が出きってから約15日後の2回行います。芽が出るのは、植え付け後20~25日ぐらいになります。1回目の土寄せは、芽の上から3cmほど行い、2回目は畝立てをする要領で追肥と一緒に行いましょう。
続いて、ネギについてお話しします。4月下旬からはネギの植え付け時期になります。土が酸性の場合、ネギの生育が悪くなるため、苦土石灰などを施用します。石灰質資材は、植え付けの2週間以上前にまいて、土とよく混ぜ合わせてください。
植える際は、深さ20cm、幅20cm程度の溝を掘り、苗を3~5cm間隔に並べて土をかけます。この時、植える側の溝の側面は垂直にし、かける土の量は3cmくらいの少量にします。植え付けの1カ月後くらいからは土寄せを行います。この作業は、除草もかねて収穫まで1カ月に1回ほど定期的に行ましょう。土寄せと合わせて追肥も行うと効果的です。
続いて、家庭菜園の主役である果菜類についてです。キュウリやトマト、ミニトマトは、低温や遅霜に弱く、最低地温が13℃以上になる頃が植え付け時期となります。また、ナスやピーマン類はキュウリやトマトよりも高温を好むので、最低地温17℃以上が目安です。
ホームセンターなどでは早い時期から苗が売られていますが、地温が上がるのを待って購入・植え付けを行いましょう。植え付け後は、低温への対策として穴あきのビニールを使ったトンネルや苗キャップ、あんどんなどをします。また、地温の上昇にはポリマルチが効果的で、雑草防除にも効果のある、黒色のポリマルチがおすすめです。
苗を植えるのは、風がなく穏やかな日の午前中が適しています。ポットの土の表面と、周囲の土の高さが同じくらいになるように植えます。マルチの植穴のふちはパタパタしないように土で閉じておきましょう。こうすることで、暑い日に熱風で苗が枯れるのを防ぐことができます。
また、トマトではアブラムシによって伝染するウイルス病が問題となります。ウイルス病を防ぐには、植え付け初期のアブラムシ防除がポイントになります。植え付け時にアブラムシに効果がある殺虫剤を植穴に処理するか、防虫ネットで畝を1カ月くらい覆うなどの対策があります。マルチをシルバーマルチにすることも効果的です。病害虫対策で農薬を使用する際には、必ず容器に書いてある内容を確認して、記載どおりに使用してください。
最後に、家庭菜園を行うにあたって、管理機等の機械や道具に触れる機会が多くなります。農業器具の使用に当たっては、毎回の点検や周囲の安全確認をしっかり行ったうえで、作業は余裕を持って行い、安全な運転操作を心がけましょう。特に管理機などの歩行型トラクターでバックする際は、挟まれなどの事故に注意し、周囲の安全確認をしっかり行いましょう。
また、管理機やロータリーなどの点検や異物を除去する際には、回転部に巻き込まれないように、必ずエンジンを停止させましょう。
大きな事故を防ぐには、一人での作業はなるべく避け、休憩を十分に取り、家族や友人同士みんなで声を掛け合うことが大切です。きりのいいところまでと焦って作業をせずに、次の日に持ち越すゆとりをもって、楽しい菜園作業にしましょう。