有線わくわく川柳 投句作品集 【題 昭和】


                    2024年10月

                    主催:篠ノ井有線放送(SYH
                    選者:元国語科教諭 中川あき子さん


- 入賞作品 -
【 三 才 】 天・地・人

 天  アルバムの 戦死者数える 生き残り      久 保 幹 夫
 地  ハラスメント たくさんあって 勉強中     茉 崙(マロン)
 人  部活動 朝練 自主練 一日練         えっちゃん


【 五 客 】 1-5

1  「たのきん」って ご存じですか トリオです   茉 崙(マロン)
2  昭和では 不戦の誓い 今軍拡          宮 尾 正 子
3  曲流れ マイムマイムの なつかしさ       岡 澤 千賀子
4  お国のため 命燃やした やるせ無さ       久 保 愛 子
5  カラオケは 尾崎と聖子 かかせない       レモンサワー



【 平抜き 】 1-7

1  取り持ち屋 昭和にはいた お節介       竪 谷 致 之
2  シャフ シャフと 蚕見つめた 桑のオト    岡 澤 千賀子
3  一週間 月月火水木金金         伊 藤 幸 一
4  母の形見 古くて白い 割烹着         伊 藤 房 子 
5  赤と黒 ランドセルの色 昭和の子     棚 田 啓 子
6  当たり前 水分とらず 猛特訓         伊 藤 達 也
7  給食の 好きな献立 ソフト麺         レモンサワー



【 投句作品紹介 】 (順不同)

かまど炊き 焦げ飯 昭和 する香り      酒 井 房 子
弾む声 昭和レトロの 玉のれん        酒 井 房 子
体罰が 時々飛んだ 授業中          宮 尾 正 子
我慢我慢 ここでもやっぱり がまんがまん   えっちゃん
カラオケ会 開けば 皆な 昭和歌       竪 谷 致 之
輝きの やんちゃ時代の 仲間たち       関  博 英
浮かび来る 昭和のあのユメ まだ消えず    関  博 英
元気湧く 昭和の父母の たくましさ      関  優 磨
跳び付いた 令和の孫抱く 昭和ジジ      関  優 磨
敗戦から 奇跡の復興 なせば成る       久 保 幹 夫
あの頃は 頑張ることが 勲章だ        伊 藤 幸 一
また一棟 馴染んだ家屋 建て替えだ      伊 藤 房 子
それほんと 働くことが 美徳とは       伊 藤 達 也
女子バレー 東洋の魔女 獅子奮闘       久 保 愛 子
蚕かご 栄枯盛衰 昭和語る          瀧 澤 明 美
捨てる靴 昭和レトロが 捨てがたい      瀧 澤 明 美
ほりごたつ くすぶるおきの香 昭和の香    棚 田 啓 子



  •  素敵な作品をありがとうございました。

                       ― 篠ノ井有線放送 




             解説/講評 元国語科教諭 中川あき子さん
- 審査講評 -

【 天(1位) 】  アルバムの 戦死者数える 生き残り

川柳は、明るいものがいい、という考え方もあるでしょう。
今回、あえてこの句を選んだのは、戦争の体験と記憶が「昭和」の大きな
テーマだと思ったからです。アルバムを捲るという、日常のさりげない一コマ。
そこに、戦争の時代から高度成長期へと、苦難を乗り越えて生きてきた作者の姿
が次々浮かびます。それは、同時代を生きた人々の姿でもあります。
作者は過去を回想しているだけでなく、残りの人生への決意も新たにしている
のかもしれません。十七音の中に、時代の流れと広がりを感じさせる句でした。

    
【 地(2位) 】  ハラスメント たくさんあって 勉強中 

    昭和に作られたドラマの再放送を見ると、「女性を蔑視している!」
「この刑事、暴力使って取り調べしてる!」などと思ってしまうことが時々あり
ます。人権に対する意識が広まったのは、時代の進歩です。昭和育ちも、頭を切
り替えなければなりません。でも「セクハラ」「パワハラ」ぐらいは分かっても、
「マタハラ」「カスハラ」「アカハラ」なんて聞くと、えっ、何?となってしまい
ます。誰かに訊くのもためらわれるし…。
    昭和育ちのつぶやきでもあり、世相を切り取った句でもあります。


【 人(3位) 】  部活動 朝練 自主練 一日練 

昭和の部活動の花は、野球でした。女子だったらバレーボールですね。だんだん、
サッカーやバスケットボール、陸上や卓球なども注目されるようになりました。
文化部にスポットがあたるのはもっと先でしょうか。根性、根性。わずかな時間
も惜しんで、青春のすべてを部活に捧げて…。そんなマンガやドラマもありました。
実際の部活動もそうでした。今は、科学的トレーニングとか休養が大切とか言わ
れます。でも、あの頃の猛練習は、昭和育ちの人間の根っこになっているぞ、な
んて思えてきます。他にも部活のきびしい練習をテーマにした句がありました。
その中で、この句は、「朝練 自主練 一日練」と「練」が三回繰り返されて、
はずむようで、躍動する若者を感じさせます。



《講評》

一口に「昭和」といっても、六十数年間に渡ります。
三分の一は戦争の時代、それから復興、高度成長、そしてバブ
ル期。たくさんの物や歌が流行しました。価値観も変化しました。
句を詠む人の年代によってさまざまな「昭和」が存在します。
寄せられた句には、みなさんの昭和が息づいていて、どの句を
選んでいいか、とても迷いました。
今回の作品の中では、我慢と頑張りと根性の昭和時代を取り
上げた作品が多かったです。次に世代間のギャップ、戦争をテー
マにした作品も心に残りました。現代では忘れ去られようとして
いる蚕、掘り炬燵、かまどなど、記憶の中だけでなく作品として
留めておくことの大切さも感じました。
川柳を寄せてくださった方も、それを読んだり聴いたりした方
も、自分の中の昭和を再発見し、(大袈裟ですが)人生を見つめ直
すきっかけになったのではないでしょうか。




有線わくわく川柳大会 作品募集のお知らせ



 篠ノ井有線放送では、今年も『有線わくわく川柳大会』を開催します。9回目となる今年も、川柳作品を募集しますので、皆様ふるってご応募ください。入賞者の皆さまには、賞品をプレゼントします。

【 応募方法 】

 お  題:『物価』
 応募締切:令和7年10月31日

 投句方法:葉書でまたはEメールで、篠ノ井有線事務局までお送りください。一人二句まで応募できます。


【 送り先 】

  住所:〒388-8006
     篠ノ井御幣川278
     篠ノ井有線放送

  Eメール:sino-ufo@grn.janis.or.jp


  電話:026-292-0080
  有線:2000~2002

皆様のご応募お待ちしています!!